エレキギターと民謡との出合いが生んだもの

三味線といえば、古くは長唄から今では民謡・出ばやしなどにまで使われる日本の伝統楽器。戦国時代に琉球(現在の沖縄県)から伝来したといわれ、今でも沖縄の島唄などでは欠かせない存在です。そんな三味線の音楽が、民謡など見向きもしないエレキ少年だった中学生の私に、突然キラキラとした輝きを放つことがありました。それは今年亡くなった寺内タケシを神様のようにあがめていた時代のこと。私は寺内やベンチャーズが演奏するポップスが、一番かっこいいと信じてまねばかりしていました。その神様が「津軽じょんがら節」をエレキで弾くという、まさに青天のへきれきのようなことが起こったのです。エレキ民謡の草分けとされるこの曲は東北の農民の厳しい生活の中から生まれた音楽で、後に原曲を聴いた時にはその力強さに魂を揺さぶられたことを覚えています。

神様・寺内が演奏をしたということは、そのまま、まねすることが使命の私。耳コピしようとレコードを擦り切れるほど聴いてはみたのですが、どうあがいてもまねできるレベルの演奏ではありません。程なく無駄な抵抗に気付いて、エレキギターをそっとケースにしまい、それから二度と神様のまねをすることはなくなりました。

大人になって聞いた話ですが、当時、エレキギターが若者の不良化を招いているとされた風潮に、寺内はクラシック曲や日本民謡を高い技術で演奏し、エレキギターの音楽的可能性を世に伝えていったということでした。エレキ少年の音楽観を根本から変えてくれた氏のご冥福を心からお祈りいたします。

※今回紹介したレコードは9月21日(火)放送のFM791「昭和名曲堂コモエスタ辛島町」(16時~18時55分)で放送する予定です。

しまだ・のぶあき/1951年生まれ、熊本市出身。東京のデザイン会社でコピーライターとして社会人デビュー。帰熊後、広告代理店でコピーライター&プランナーとして活躍。現在はFM791「昭和名曲堂コモエスタ辛島町」(火曜・16時~18時55分)、同「ミッドナイトコモエスタ」(水曜・0時~1時=全国コミュニティFM番組)、RKKラジオ「昭和歌謡大作戦」(日曜・20時~20時55分)の選曲家、パーソナリティーを務め、幅広い年齢層に昭和の曲を届けている。