さて何匹捕獲できるのか? 魅せられた「虫」のレコード

緊急事態宣言やまん延防止が解除されて、やっと街に人が帰ってきた…そんな季節ですが、人の心はなかなか、さあ今日から元通りとはいかないですよね。以前のように当たり前に肩を組み、歌い、語り、共にグラスを傾ける…人と人が触れ合うことでしか生まれない一体感が、なんだか遠い昔の出来事のような気がします。

昭和歌謡のレコードを聴いていると、そんな夜の街の出来事を歌った曲が多いこと。ほぼ6~7割が酔いどれの歌や悲しい恋の歌などですが、今回ご紹介するレコードは、夜の街に生きる「虫」の歌。この「夜の虫」、餌は酒とタバコと恋。昼は寝ていて夜になると目を覚まし、酒場の片隅でグラスをなめているという。ひょっとしたらこの「虫」、あなたの体の中にもいそうな、そんな気がした人いるんじゃないですかねぇ。

このなんとも絶妙な詞と曲を書いたのが、昭和の日本歌謡界を代表するシンガーソングライター浜口庫之助。奥様の渚まゆみにちゃっかりと歌わせています。そして当時の歌手によほど気に入られたのか、私が現時点で確認しているカバー数は8つ以上。その事実を知ってからは、なぜかこの「夜の虫」に魅せられ、カバーレコードをコンプリートしようと、オークションを渡り歩く日々。私はハマクラさんの曲は見つけると無条件に手を出してしまうほどの“ハマクラー”なんですが、果たしてこの「夜の虫」を何匹捕まえることができるのか? 番組では捕獲に成功した中でも、今のところ一番夜の匂いのする奥様の「夜の虫」をご紹介させていただきます。

イラスト・松田アツコ

※今回紹介したレコードは11月23日(火)放送のFM791「昭和名曲堂コモエスタ辛島町」(16時~18時55分)で放送する予定です。

しまだ・のぶあき/1951年生まれ、熊本市出身。東京のデザイン会社でコピーライターとして社会人デビュー。帰熊後、広告代理店でコピーライター&プランナーとして活躍。現在はFM791「昭和名曲堂コモエスタ辛島町」(火曜・16時~18時55分)、同「ミッドナイトコモエスタ」(水曜・0時~1時=全国コミュニティFM番組)、RKKラジオ「昭和歌謡大作戦」(日曜・20時~20時55分)の選曲家、パーソナリティーを務め、幅広い年齢層に昭和の曲を届けている。