自分のお小遣いで初めて買ったレコード

私が音楽に目覚めるきっかけとなったのは、親の影響が最初だったかもしれません。父が長い入院生活を送っていたわが家は、決して裕福とはいえない家庭でした。そんな家にピカピカのステレオがやってきたのは、私が小学校の高学年の頃だったでしょうか。そのステレオで最初に聴いたレコードが、親が買ったヨハン・シュトラウスのLPでした。何だかアカデミックな環境で育ったように誤解されるかもしれませんが、私の周りの大人たちが聴いていたのは、もっぱら島倉千代子や春日八郎など当時の流行歌手の歌。なぜ、両親が私にクラシックを聴かせたのか…? たぶん情操教育の一環だったのかもしれません。その後、働き盛りの両親が好んで歌っていたのは、演歌などの流行歌でしたから。まあ、ごく普通の家庭だったのです。

しかし、最初にワルツなどを聴いた私は、その旋律の美しさに素直に感動し、結局、お小遣いで最初に買ったレコードは、ウィーン少年合唱団の歌うシュトラウスの「美しく青きドナウ」でした。そんなシュトラウス少年だった私も、友達のお兄ちゃんの影響でアメリカのPOPS(ポップス)を聴き始め、ビートルズに衝撃を受け、徐々に洋楽のとりこになっていったのです。

当時、大人になっても、絶対に演歌などは聴かないと信じていた私。しかし、年を重ねるにつれ、演歌などの歌詞が身に染みるようになりました。ここ十数年は、昭和な歌謡曲に新しい世界を感じ、親の歴史をなぞっていくような日々を過ごしています。

※今回紹介したレコードは1月22日(火)放送のFM791「昭和名曲堂コモエスタ辛島町」(16時~18時55分)で放送する予定です。

しまだ・のぶあき/1951年生まれ、熊本市出身。東京のデザイン会社でコピーライターとして社会人デビュー。帰熊後、広告代理店でコピーライター&プランナーとして活躍。現在はFM791「昭和名曲堂コモエスタ辛島町」(火曜・16時~18時55分)、RKKラジオ「昭和歌謡大作戦」(日曜・20時~20時55分)の選曲家、パーソナリティーを務め、幅広い年齢層に昭和の曲を届けている。