大胆なアレンジ 本家が認めた音頭調ロック

私がビートルズを初めて聴いたのは、確か小学6年生の頃でした。イギリスから出てきたというそのバンドの曲は、歌謡曲からやっとアメリカのポップスに目覚め始めた私にとっては、全身の血が沸騰するような衝撃的な出合いでした。それからほぼ10年後の解散まで、彼らから得た音楽や生き方が、そのまま今の自分につながっています。

今回ご紹介するのは、ビートルズが1969年に発表した“イエローサブマリン”のカバー曲「イエローサブマリン音頭」。原曲の発表から13年の時を経て、民謡歌手として活躍していた金沢明子がリリースした16枚目のシングルです。プロデュースは大瀧詠一で、このカバーを聞いた時、あまりの大胆なアレンジに、思わず笑ってしまったことを覚えています。今でこそロックや民謡などを大胆にカバーするのは当たり前ですが、ビートルズの曲を音頭でカバーするなんて、誰も思いつかないやり方でした。

大瀧詠一と言えば“Long Vacation”などに代表される美しいメロディーや、しゃれたアレンジの曲を書く人というイメージがある一方で、この曲のようにパロディーセンスに満ちあふれた曲も多いのです。ビートルズは80年代以降、歌詞の変更などを禁止していたにもかかわらず、これを聴いたポール・マッカートニーは発表をOKしたそうです。まだまだ多彩な新作を聴きたかった天才・大瀧の死はおよそ6年前。あまりにも早かったと思わざるを得ません。

※今回紹介した曲は2月25日(火)放送のFM791「昭和名曲堂コモエスタ辛島町」(16時~18時55分)で放送する予定です。

しまだ・のぶあき/1951年生まれ、熊本市出身。東京のデザイン会社でコピーライターとして社会人デビュー。帰熊後、広告代理店でコピーライター&プランナーとして活躍。現在はFM791「昭和名曲堂コモエスタ辛島町」(火曜・16時~18時55分)、RKKラジオ「昭和歌謡大作戦」(日曜・20時~20時55分)の選曲家、パーソナリティーを務め、幅広い年齢層に昭和の曲を届けている。