時代の空気を映した名曲の数々 希代の天才作曲家を偲んで…

先月7日、数々のヒット曲を世に送った天才作曲家・筒美京平氏が亡くなりました。訃報を聞いてわが家のレコード室(散らかり放題の自室のことですが…)で、いったいどれくらいあるのだろうと調べてみると、アレもコレもと次々に出てくるレコード。それを見て、改めて筒美氏の天才ぶりを知ることとなったのです。

レコード会社の洋楽ディレクターとして始まった筒美氏の音楽人生。その根底で鳴り続けていた音は、日本に限らずその時代の空気を映したエッセンスに満ちていました。そんな中で多くのファンに愛された歌があります。いまだに多くのカバーソングがリリースされている「木綿のハンカチーフ」です。スマホもSNSもない時代、手紙のやりとりだけで愛を育んだ男女の言葉が、切ない歌詞となってたくさんの人々を魅了しました。普通なら悲しげな歌として、マイナーな曲調に傾きがちですが、それとかけ離れたあの躍動感のあるメロディー。それが逆に、遠距離の恋愛の寂しさのようなものを表現していたのではないでしょうか。

当時としては、この男女の言葉の入れ替わりの歌詞は、とても斬新な手法だったと聞いています。この詞を手掛け、かつ天才・筒美氏と多くの曲でコンビを組んだ作詞家・松本隆氏が筒美氏に寄せた言葉。「ぼくが京平さんからもらったものはありったけの愛。彼ほどぼくの言葉を愛してくれた人はいない」。その言葉が筒美氏の存在の大きさを表しているように思えます。

※今回紹介した曲は11月24日(火)放送のFM791「昭和名曲堂コモエスタ辛島町」(16時~18時55分)で放送する予定です。

しまだ・のぶあき/1951年生まれ、熊本市出身。東京のデザイン会社でコピーライターとして社会人デビュー。帰熊後、広告代理店でコピーライター&プランナーとして活躍。現在はFM791「昭和名曲堂コモエスタ辛島町」(火曜・16時~18時55分)、同「ミッドナイトコモエスタ」(水曜・2時~3時=全国コミュニティFM番組)、RKKラジオ「昭和歌謡大作戦」(日曜・20時~20時55分)の選曲家、パーソナリティーを務め、幅広い年齢層に昭和の曲を届けている。