港町の酒場の片隅を映し出す 映画のような歌詞の世界

例年ならばこの季節は、新年会や新成人の祝いを兼ねた飲み会などでにぎわう時期ですよね。そのような祝祭の節目に欠かせないのが、お酒でしょうか。でもお酒には、楽しい酒から悲しい酒までいろいろあって、お酒の歌もまた、それぞれの状況に応じて、喜怒哀楽を歌いあげた多くの歌があるのです。

今回ご紹介するレコードは、八代亜紀の「舟唄」(1979年)。昔から、俗に言う大衆音楽(ポピュラーミュージック)は、さまざまな背景や年代、職業の人々が交じり合う港町から始まったという説があります。この「舟唄」も舞台は港町です。シャンパンやカクテルなどの煌(きら)びやかな世界とは正反対のつましい酒の歌には、港町に集う人々の顔や薄暗い店の明かり、喧騒(けんそう)の中にある静寂…、といったような映像が映し出されてくるのです。

八代亜紀はこの曲を、独特のコブシと切々としながらも迫力のある歌い方で、(男性の立場で歌われる)男唄として表現しています。作詞をした阿久悠によると、もともと「舟唄」は、美空ひばりのために書いたものらしかったのですが、もし八代亜紀の代わりに美空ひばりが歌っていたとしたら…!?

さ、今夜はあぶったイカでも肴(さかな)に、そんな妄想の世界に浸ってみましょうか。

※今回紹介した曲は1月19日(火)放送のFM791「昭和名曲堂コモエスタ辛島町」(16時~18時55分)で放送する予定です。

しまだ・のぶあき/1951年生まれ、熊本市出身。東京のデザイン会社でコピーライターとして社会人デビュー。帰熊後、広告代理店でコピーライター&プランナーとして活躍。現在はFM791「昭和名曲堂コモエスタ辛島町」(火曜・16時~18時55分)、同「ミッドナイトコモエスタ」(水曜・2時~3時=全国コミュニティFM番組)、RKKラジオ「昭和歌謡大作戦」(日曜・20時~20時55分)の選曲家、パーソナリティーを務め、幅広い年齢層に昭和の曲を届けている。