つんどくよんどく

うちのねこ

著:高橋和枝

今回紹介する絵本は、ある家に一匹の猫が迎え入れられたことから物語が始まります。

この家にやって来たのは、警戒心が強くて攻撃的な元野良猫。逃げる、引っかく、毛を逆立てる…。なかなか心を開かない猫に、人は繰り返し声を掛けます。「こわくないよ」「だいじょうぶだよ」。聞いていないようでいて、猫はちゃんと聞いています。繰り返されるその声に、ゆっくり、ゆっくりやわらかくなっていく猫。「ほんとうは、ねこはわたしのことがきらいなのかな」と涙を流した夜もあったけれど、攻撃的だった猫は今や、人に寄り添ってごろごろとノドを鳴らす“うちのねこ”です。

縮まらない距離に抱いた挫折感、そしてそれを乗り越えた先にある幸福感の追体験は、他者と暮らすということについて考えるきっかけにもなるでしょう。
安心安全な「うち」があれば、猫だって人だってやわらかくなれる。なんて書いている私の傍らにも猫。「溶けてなくなるのでは?」というほどやわらかに丸まり、ぐっすりと眠っています。

定価 1540円 26×22cm アリス館

紹介するのは

長崎書店
村上 恵利香さん

うちの猫は福子といいます。