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香りで万象を知る少女と奇跡の稲【つんどくよんどく】

香君 上・西から来た少女
著:上橋菜穂子
定価 1870円 四六判 文藝春秋

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香君 上・西から来た少女

著者:上橋菜穂子

作家・上橋菜穂子さんによる待望の新作が7年ぶりに登場しました。主人公は、「香り」を感じることのできる少女、アイシャ。優れた嗅覚により、植物の思いや人々の感情さえも読み取ることができます。

舞台は、香りによって万象を知ることができる活神(いきがみ)「香君」の庇護のもと繁栄を続けるウマール帝国。それは香君が「神郷」から持ち帰ったという奇跡の稲“オアレ稲”の恩恵といわれています。しかしある時、オアレ稲にとって天敵となる害虫の被害が発生し、帝国の栄華は零落へと転じていきます。救う手立てを持つアイシャは、国のため奮闘しますが、政治的あつれきに阻まれ、民ともども絶望の淵に立たされます。

現代の生態系や食糧危機へとつながっていくような社会問題をはらみつつ、物語は不穏な展開へ。植物を象徴する「静」から捕食する生物「動」へと焦点が当たる時、怒涛(どとう)のクライマックスが訪れます。ラストの陽だまりのような読了感は心地よかったです。

紹介するのは

長崎書店
杠(ゆずりは) 由香さん

PIC読書アドバイザー。上通かいわい・店内をうろうろしています

記事内の情報は掲載当時のものです。記事の公開後に予告なく変更されることがあります。

香君 上・西から来た少女

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