トランスジェンダーのトイレ問題【村上美香のヒトコトつれづれ】
使いたい時に使えないと困るトイレ。私たちが日常生活で困ることはほとんどありません。でも、トイレで困っている人たちがいます。それは「トランスジェンダー」と呼ばれる生まれ持った性と心の性が違う人たちです。
「熊本県人権月間 性的指向・性自認に関するシンポジウム」が先日開かれ、私は司会で参加しました。そこで議論が交わされたのが、トランスジェンダーのトイレ問題。トランスジェンダーの方が普段使う公共のトイレは、男性用、女性用ではなく「みんなのトイレ」だそうです。例えば、身体は女性として生まれても心が男性の場合、服装や髪形などは男性なので、女性トイレに入ると周りから不審な目で見られてしまうからです。
さらに、「みんなのトイレ」を使う時も、気を使うといいます。ある人は「車椅子の方や高齢者の方が使うものというイメージから、見た目が若くて健康な自分が入ると、周りから変な目で見られてしまうんです。だから周りに誰もいない時に入るようにしています」と話していました。
学生の場合、朝から家でトイレに行ったら、学校が終わるまで一度もトイレに行かずに我慢をするという傾向にあり、泌尿器の病気に悩む方も多いとのこと。トランスジェンダーのトイレ問題は深刻です。行政が公共の機関で誰もが使える工夫をすることは大切ですが、皆さんが気にしていたのは何よりも周りの目。生きづらさを抱える人たちのために、まずは、私たちが現実を知ることが大事だと思いました。