野菜の害虫を天敵となる昆虫で管理 農家の負担と農薬量の軽減に貢献【すてきびと】
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(株)ペコIPMパイロット代表 農学博士 浦野 知さん
農家にとって、多大な経費と労力を要する農薬散布。その負担と農薬の量を軽減する手段の一つが、害虫の天敵となる昆虫を使った管理です。
農学博士である浦野さんは、大学で動物の生態の研究を始めて以来、30年以上、天敵昆虫に関わる仕事に従事。現在は県産のトマトやナスなどに多い害虫を食べる土着の昆虫・タバコカスミカメの生産・販売を行っています。
土着天敵を使った害虫管理は、ヨーロッパなどでは一般的ですが、日本ではまだ普及途上。「もっと広まってくれたら」と浦野さん。ただ近年、農業従事者の高齢化が進む中、この方法を取り入れる農家も徐々に増えているそうで、「生産者から『農薬散布の回数が減り、作業が楽になった』など、喜びの声をもらうのが何よりのやりがい」と笑顔で語ります。
今後は、大規模な天敵昆虫の生産が可能なハウス(通称“天敵ハウス”)を中心に、イチゴ栽培、地ビール醸造などを行う「天敵活用センターを建設したい」という壮大なプランも。熊本の“虫博士”の夢は続きます。
Information
「ペコIPMパイロット」HPで。
http://www.pecoipm.com/