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「やりたい」ことをかなえて 新しい体験をするきっかけに【となりのあの子Web版 Vol.34】

「やったことないから、やってみたかったんだよね」
先日初めてスノーボードに一緒に行った若者は、うれしそうにそうつぶやきました。

私たちは若者たちから日々いろんなリクエストをもらいます。その中でたまにあるのが、親に頼れないためにできなかったことをやりたい、というもの。「これ、したことないからやってみたい!」という要望の中には、「みんなで映画のレイトショーに行ってみたい」「スタバに行ったことがないから行きたい」というものから、「親子で買い物に行ってみたかったから一緒に行ってほしい」などさまざま。

特にDVや束縛の強い家庭から逃げてきた若者たちの中には、たくさんの「できない」を我慢してきた子たちが少なくありません。「新しい洋服や靴下を買う」「自由に外出する」「好きなテレビを見る」「ちょっといいハンバーガーセットを買う」…。他の家の子が普通にやっているようにみえることができなかった、という体験を持っている子もいます。そんな中で、他の子がうらやましかったり、できないことに悔しさや落胆を感じたりします。

だから内容はなんであれ、「やったことない」を一緒にかなえたいと思ってくれるのは嬉しいことです。なぜなら、「やったことのないこと」を「やる」ということは、大人が考える以上に大切な時間だからです。どれだけ言葉を重ねても、一つの実体験にはかないません。それまでできなかった「やりたかったこと」ができた瞬間、若者は心の底からうれしそうな笑顔を見せてくれます。時にはその体験を通じて、それまでのしんどかった時間やいろんな空白がじわっと埋まっていくのを感じることもあります。

だからこそ、私は若者たちにはどんな時でも新しいことにどんどんチャレンジしてほしいと思っています。中にはまだ生活も安定してなかったり、やるべきことがやれてなかったり、いろんな状態の若者たちもいます。でも、どんな状況にあっても、経験したことのない楽しいことやワクワクすることに出合う機会を失ってほしくないと思うのです。

しんどいことを解決したり、ちゃんと生きていけるようにするのも大事ですが、それと同じくらい本人たちの「やりたい!」をかなえて、新しい体験をするきっかけをつくっていけたらすてきですね。

記事内の情報は掲載当時のものです。記事の公開後に予告なく変更されることがあります。

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この記事を書いた人

NPO法人トナリビト代表。親を頼れない子ども・若者や社会的養護出身者を対象に自立支援シェアハウスIPPOを運営する傍ら、相談窓口・居場所スペース、就労支援ネットワーク、学習支援、普及啓発活動等を通じて支援を行っている。

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