個性あふれる選書が魅力!熊本の「独立系書店」5選

「独立系書店」とは、個人や小さな企業が運営する本屋さんのこと。
店主こだわりの選書や個性的な店づくりで存在感を増しています。
本の魅力を再発見できる、熊本の独立系書店を訪ねました。
店主の思い入れ 感じて書棚巡り
大型書店より冊数が少なく、一冊一冊、時間をかけて吟味できるのも独立系書店の面白さ。
時には店主に本の内容を聞きながら書棚を巡ると、思いがけない出合いがあるかもしれません。






[1]橙(だいだい)書店(熊本市中央区練兵町)


迷路を巡るように自分と向き合える一冊を探す
熊本市中央区練兵町の電車通り近くにある『橙書店』。
天井近くまで伸びる書棚に囲まれた通路はまるで小さな迷路のよう。
そんな店内を巡っていると、ワクワクとした気持ちになります。


置いてある本は店主の田尻久子さんが興味を持ったものを中心にセレクトしてきたものだそう。
「ただ、年を重ねるごとに『いい』と思う基準が緩やかに変化している」と田尻さん。
改めて書棚を眺めると、自身を見つめ直すための本などが多い印象です。
田尻さんは自身でも執筆活動を行い、文芸誌「アルテリ」の編集・販売・発送なども担当しています。


「手が空いたら常に本を読んでいる」と忙しい中にも本を読む時間が欠かせないと言う田尻さん。
「運動をしないと筋力が落ちるように、本を普段から読んでいないと、集中力が下がるように思います。短い時間でもいいので読み続けることが大事。書店で実際に手にとって興味のある本を選んでほしい」
エッセー、現代思想、韓国文学など
ヤギと少年、洞窟の中へ


少年が洞窟で出会ったのは「ひめゆり学徒隊」の女性たち。本の最後には、女生徒全員の名前が刻まれており「亡くなった人を数字にしない」という強い思いが伝わります。
橙(だいだい)書店
住所 | 熊本市中央区練兵町54 松田ビル2階 |
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TEL | 096-355-1276 |
Webサイト | https://zakkacafe-orange.com/ |
営業時間 | 12:00〜19:00(日曜・祝日は〜17:00) |
休業日 | 火曜、第1・3月曜 |
駐車場 | なし |
[2]古本と新刊 scene(シーン)(熊本市中央区神水)


独自の分類で並ぶ本から興味を深める
『古本と新刊scene』のドアを開けると、古い学校の教室のような、ぬくもりある木の空間が広がります。
音楽ライブやトークショーなどのイベントも不定期に開催。土・日曜、祝日はドリンクの提供もあるそう。
壁に沿って並んだ書棚には、「生き方、働き方を考えるための本」「旅、冒険、自然の本」「ポップカルチャーの本」…と分類されたさまざまな新刊・古本が並びます。
コミックやエッセー、小説、絵本など幅広く取り扱う理由について店主の高岡浄邦さんは、「ジャンルを絞りつつ、自分がいいと思える本を選んでいる」と語ります。
「SNSや動画サイトなど、今は多くの情報に触れるきっかけは多い。その中で『もっと学びたい』『体系的に知りたい』と感じたときにこそ、書籍の役割が出てくると思います」と高岡さん。
「とはいえ、気軽に、楽しんで本を選んでいただければうれしいですね」




生き方、旅、音楽、アート、コミックなど
Neverland Diner 二度と行けない熊本のあの店で(写真左)




「Neverland Diner 二度と行けないあの店で」(写真右、編 都築響一)の“熊本版”。
同店が編集を担当し、高岡さん自身もエッセーを寄せています。
古本と新刊 scene(シーン)
住所 | 熊本市中央区神水1‐2‐8 輔仁会ビル202 |
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TEL | 090-9485-5667 |
Webサイト | https://scene-books.com |
営業時間 | 12:00〜21:00(変更あり) |
休業日 | 金曜(不定休あり) |
駐車場 | なし |
X | @bookstore_scene |
@bookstore_scene |
[3]mychairbooks(マイチェアブックス)(熊本市西区田崎)


複合施設内で気軽に “直感”の本選びを楽しむ
アパレルショップやレストランが入った西区田崎の商業施設「243」の一角にある『mychairbooks』。
約13㎡の空間には、目を引く装丁の絵本やエッセー、小説、デザイン関連の書籍、人文書に加え、レコードやCD、カセットテープが所狭しと並びます。
2015年に上乃裏でオープン。
2年の準備期間を経て「243」が完成した22年、現在の場所に移転しました。
「基本的に自分が読みたい本、聞きたい音源を選んでいる」と店主の藏原広人さん。
ただ、「『差別を助長しないもの』といった線引きはある」との言葉通り、ジェンダーや戦争をテーマにした本も少なくありません。
施設内の通路となるスペースにも本が並んでおり、他店舗を訪れたついでに本を眺める人も多いそう。
「普段本を読まない人も、難しく考えず表紙の印象や手触りを”直感”にして手に取ってほしい」と藏原さん。
「活字離れとされている今、うちの店が少しでも本に触れる機会となればうれしいです」




アート、絵本、ジェンダー、中東問題など
みんなで見たこどものえ


ガザの子どもが「自由に」描いた、生々しい絵。それを見て日本の子どもたちが感じたことを絵で表現。二つの場所から発信される平和への祈りが感じられます。
mychairbooks(マイチェアブックス)
住所 | 熊本市西区田崎2‐4‐33 1階 |
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メール | mychairbooks@gmail.com |
Webサイト | https://mychairbooks.ocnk.net |
営業時間 | 10:00〜19:00 |
休業日 | 火曜(不定休あり) |
駐車場 | 14台(他店舗と合同) |
ドライブがてら行ってみたい!熊本市外の個性派書店
魅力的な書店は熊本市外にもあります。
お店の方に話を聞きました。
本屋と活版印刷所(天草市中央新町)


一冊の本が人生を変えるきっかけに
『本屋と活版印刷所』店主の永田有実さんは元グラフィックデザイナー。偶然出合った『小商いのすすめ』(平川克美著・ミシマ社)に感銘を受けました。
イベントでの本販売などを経て、2019年に書店を構えることに。「本は、人生を変えるきっかけにもなる。ふらっと立ち寄って、素晴らしい出合いを見つけてもらいたい」と永田さんは笑顔を見せます。
東京・京都で活動する出版社「ミシマ社」の書籍中心
本屋と活版印刷所
住所 | 天草市中央新町19‐1 |
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メール | nagatamaru-p@a.acn-tv.ne.jp |
営業時間 | 10:00〜17:00 |
休業日 | 日・月曜(不定休あり) |
駐車場 | 2台 |
X | @booksandkappan |
子どもの本の店 竹とんぼ(阿蘇郡西原村)


“記憶の底に眠っていた本”との再会も
「開店して40年以上、品ぞろえはほぼ変わっていない」と話すのは『子どもの本の店 竹とんぼ』スタッフの小宮佳代さん。
ロングセラーの名作が並び、表紙を見ただけで「これ、小さい時読んだ!」と喜ぶパパ・ママも多いそう。
親から子へと伝えられる、大切な思い出。
小宮さんは「忙しい現代だからこそ、絵本を通して親子の思いをつなげたい」と語ります。
絵本や児童書中心。図鑑や料理の本も
子どもの本の店 竹とんぼ
住所 | 阿蘇郡西原村小森1847‐3 |
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TEL | 096-279-2728 |
営業時間 | 10:00〜18:00(土曜・祝日〜17:00) |
休業日 | 日曜 |
駐車場 | 5台 |
@taketonbobooks |