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持続可能なまちづくりの拠点として 地域資源の魅力引き出し、生かす珈琲店

「地熱珈琲」オーナーの山本美奈子さん。円3つのロゴには、わいたの湯煙や、まちづくりに必要な「ヒト・モノ・コト」などの思いを込めた

目次

編集部が見つけた SDGsレポ

熊本でSDGsに取り組む団体や人、関連する商品などについて、不定期で紹介します。阿蘇郡小国町の山手にある「わいた温泉郷」に今年4月、コーヒー店「地熱珈琲」をオープンした山本美奈子さんは元大学職員。「持続可能なまちづくり」をライフワークとする中で始めたのがこのコーヒー店でした。(千)

7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに。8 働きがいも経済成長も。11 住み続けられるまちづくりを

集落全体から温泉蒸気が湧く「わいた温泉郷」。その高台にある、野菜などを地熱で乾燥させる小屋の中に「地熱珈琲」があります。

地熱を生かした唯一無二の味

「地熱珈琲」オーナーの山本美奈子さん。円3つのロゴには、わいたの湯煙や、まちづくりに必要な「ヒト・モノ・コト」などの思いを込めた

ここで楽しめるのは、“地熱を生かしたコーヒー”。地熱で50度まで熱したお湯で十分に汚れを落とした豆を温泉蒸気で蒸して芯まで熱を通します。そして、自家焙煎した豆から濃い原液を抽出してお湯や水で割る「一番だしドリップ」という独自の製法で丁寧に入れられるコーヒーは、雑味やえぐみがなく、ふくよかな香りでスッキリした味わい。「小国のこの場所でしか入れることができない、唯一無二の味」です。

地域資源の価値化

かつては福岡県で大学職員として働きながら、プライベートの時間に「まちづくり」や「食」について学んでいたという山本さん。その中で、「まちづくりを職業にできれば」と考えるようになったそうです。「私のような『普通の人間』でも地域活性化を推し進めることができると、自分の身で証明したかった」。縁あって地域おこし協力隊として、2016年に小国町の杖立温泉へと移住。3年の任期の中で、小国町での「持続可能なまちづくり」への思いを強めていきました。

「今まで見過ごされていた地域資源の魅力を引き出して価値化し、循環させることが大事」と目を付けたのが、蒸気量豊富なわいた温泉郷。地熱を生かせるコーヒー焙煎法と偶然出合い、地熱乾燥小屋を借りたことでコーヒー店開業へ一歩踏み出しました。「温泉郷の湯煙を見ながら、地熱でおいしく仕上がったコーヒーを楽しむ…。これこそ、地域活性化の拠点になり得るオンリーワンの魅力だと思いました」

地熱乾燥小屋の一角の店舗
お店は高台にある
お湯で手洗いしたのち、温泉の蒸気で蒸された生豆
店頭には蒸し場を設置
コーヒーは一杯一杯、一番だしのように抽出していく

まちづくりの拠点を もっと増やし、広げたい

地元の障がい児・者複合施設に製造を委託したコーヒーカップ「KIYORA」

土・日曜に「地熱珈琲」を営業し、平日は会社員として働く山本さん。SNSなどの反響が大きく、普段は人影もまばらな集落に県内外から多くの人がコーヒーを求めて訪れ、にぎわいを創出しています。「予想以上に多くの人が、この地域資源を魅力的に感じているのだと驚き、うれしい」。観光客と地域の人がコーヒーを楽しみながら語らい、両者をつなげる場にもなっています。

「小さな点も3つつながれば面になる。地域活性化の『点』を増やして『面』を広げたい」と山本さん。地元での雇用創出を目指し、小国町の社会福祉協議会と連携して、障がい児・者複合施設利用者へのコーヒーカップ製造やコーヒー豆選別などの委託にも動き始めています。さらに地元企業との連携や、地熱を生かしたさらなる事業企画など、地域を巻き込み『点』を増やす活動に精力的に取り組みます。「自分のように『職業=まちづくり』の人が増えれば、持続可能なまちづくりへとつながっていくはずです」
(随時掲載)

阿蘇郡小国町 地熱珈琲

住所阿蘇郡小国町西里2811
TEL070-8436-3872
営業時間土・日曜 10時~17時
駐車場8台
備考※詳細はインスタグラム(@chinetsucoffee)で確認を

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記事内の情報は掲載当時のものです。記事の公開後に予告なく変更されることがあります。

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この記事を書いた人

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