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特別なことじゃない ひきこもり

特別なことじゃない ひきこもり

内閣府の調査※によると、国内でひきこもり状態にある人は約115万人に上るといわれています。原因はさまざまで、決して特別なことではなく、誰でもひきこもり状態になる可能性があります。だからこそひきこもりについてきちんと理解し、向き合える社会をつくっていきたいですね。本人や家族を支える一歩を、皆で考えましょう。

(※生活状況に関する調査報告書2019)

「ひきこもり」とは…

ストレスなどから身を守るための反応の一つと考えられ、さまざまな要因によって対人交流や社会参加が長期にわたりなくなっている状態のことです。

日本では今、約115万人が「ひきこもり」の状態です

ひきこもり状態にある方 満40〜満64歳 推計数 61万3千人、満15〜満39歳 推計数 54万1千人、総推計数 115万4千人
目次

新たな一歩のために温かみのある関わりを

「ひきこもり」は、さまざまな年代で数多く見られます。本人や家族の思いを伝えるとともに、支援について紹介します。

原因探しではなく元気を取り戻すためのサポートを

ひきこもりのきっかけ(例)不登校、中途退学、人間関係の不和、受験や就職活動がうまくいかなかった、生活環境の変化になじめない、けがや病気、学校や職場に適応できない…など

「ひきこもり」のきっかけはさまざまです。不登校や人間関係の不和、受験や就職活動でのつまずきなどが挙げられます。しかし原因は一つとは限りませんし、はっきりしない場合もあります。中には統合失調症やうつ病などが原因となっていることもあります。

ひきこもり状態になる前には、一見元気そうでも、家では「ぼんやりしている」「イライラしやすい」「寝つきが悪い」などの様子が見られることも。心と体のエネルギーが枯渇しかけている状態といえるでしょう。

「ひきこもり」は、消耗したエネルギーを少しずつ充電していく期間。そのためには安心して過ごせる環境が必要です。周囲の人には、原因を探すのではなく、元気を取り戻すためのサポートが求められます。

当事者の声

Aさん(男性・40歳)

自助グループや支援機関を利用 自分も家族も変わるきっかけに

18歳ごろから過度な手洗い、外出前後の長時間の入浴、自宅の施錠確認など、常に清潔、確認、儀式行為に支配される日々が続きました。

卒業後、就職はしましたが2カ月で退職。近所の目や再就職をせかす親を避けるため、夜に家を出て、朝家族が出かけた後に帰る日々に。しかし外出の前後には長い入浴が必須のため苦痛になり、20歳ごろから家にこもるようになりました。

その後、強迫性障害の診断がついたのが22歳。県外の専門病院に入院し、行動療法を受けることで、徐々に過度な手洗いや入浴をせずに済むようになりました。

退院後、県内の強迫性障害の自助グループに母と参加し、家族にも変化が見られるように。「気の持ちよう」と私の行動を叱責していた父も今は理解を示してくれています。

また、支援機関に足を運ぶようになり、世界が変わったのを実感しています。以前はこんなに苦しいのは自分だけと思っていましたが、今は「一人ではない」、そして「一人では生きられない」と感じています。

Bさん(女性・25歳)

急がなくていい トンネルは抜けられる

勉強は楽しく、部活も頑張っていた高校1年のある朝、突然、体が動かず、起き上がることができませんでした。自分に何が起きているのか考えることもできないまま、ただただベッドに横たわり3カ月。人と会うのが怖く、自宅にこもっていました。その後約5年にわたって同様の時期を何度か繰り返しました。

今考えると、「いい子でありたい」「できなければならない」「人はどう思うだろうか」などの考えが常に心の片隅にあり、普通でいられなくなったのだと思います。

家族が過剰反応しなかったことに救われましたが、その時は、母が作ってくれた弁当さえも負担に感じていました。人の優しさを受け取れず、心が動かない状態でした。

転機となったのは、休んでいる間に参加した海外の学校を視察するツアー。「自然体の自分でいいんだ」と感じて、気持ちが楽になりました。

今は体調と心をコントロールしながら、自分に合った仕事をしています。まだ不安はありますが、「急がなくていい、いつかトンネルは抜けられる」と思っています。

Cさん(女性・53歳)

失業、病気、介護… 相談からつながった仲間と仕事

勤めていた会社が倒産し、その後就いた仕事のストレスから、出勤途中に腹痛に襲われる日々が続きました。精神科を受診すると適応障害と診断され退職。それまでの体調不良がうそのように改善しました。

同時に始まった母の介護。この時は施設職員と社会的接点があったのですが、母が亡くなると人と話す機会がなくなりました。喪失感から何をしても気力が湧かず、「死にたい」と口に出すようになりました。

日常的に交流する人がいない中、この苦しみを誰かに聞いてほしくて、連日いろいろな相談機関に電話をしていました。そこで紹介してもらった支援機関で、私の今の状態が「ひきこもり」なのだと説明されました。また、支援機関に受診を勧められ、精神科で発達障害の診断も受けました。

診断はショックでしたが、支援機関で開かれている集いに参加することで力が湧き、今は作業所で楽しく仕事をしています。身だしなみにも気を使うようになりました。今後は一般就労も考えています。

家族から

(1)

小学生の時、運動会の練習が負担で不登校からひきこもりになった息子。何とか学校に行かせようと働き掛けましたが、コントロールしようとすると反抗的に。自分の子どもが「こんなことになるなんて」と思う半面、「ついに来るところまで来たか」という思いもありました。

(2)

少しずつ私たち親の方が開き直り、「生きていてくれればいい」と思うように。私たちがこのような思いに至ったからか、話もしなかった息子とコミュニケーションが取れるようになりました。

(3)

娘は中学生の時にいじめがきっかけでひきこもるようになりました。物事をきちんと考えることができる、自慢の子。ひきこもりに関する知識や情報が少なく、右往左往する状態が続きました。私自身が自暴自棄になり、大切なわが子を無視した時期もありました。

(4)

ひきこもりは長期戦。子どものことばかり考えていると自分が参ってしまいます。支援センターを利用するようになり、他の親御さんと出会えたことが心の支えになっています。

一人で悩まず一緒に考えませんか

ご本人ご家族。ひきこもり地域支援センター、身近な人々、市町村などの相談窓口、福祉の相談窓口、病院、若者サポートステーション、就労の相談窓口、学校など

「ひきこもり」は、エネルギーがなくなった状態から、充電期を経て安定期、活動期へと移行していきます。充電期間を安心して過ごすことができないと長期化することがあるため、本人のペースに合わせていくことが肝要です。

また、本人には、自分のせいで家族に迷惑をかけているという罪悪感や自責感が生まれてしまいがちです。そのため、家族も心安らぐ息抜きの時間を持ち、元気でいることが大切です。そして忘れてならないのは、本人だけでなく、家族も孤立した状態に陥るケースが少なくないということ。周囲の皆さんの温かい支えが必要です。

当センターでは個別相談に応じるほか、ご本人やご家族の交流の場を設けています。一人で悩まず、まずはお電話ください。ご本人やご家族の気持ちが少しでも楽になり、安心で安全と思える環境につながるよう、一緒に考えていきましょう。

熊本県ひきこもり地域支援センターゆるここ 臨床心理士
西田 稔さん

熊本県ひきこもり地域支援センター ゆるここ

住所熊本市東区月出3‐1‐120 熊本県精神保健福祉センター内
TEL096-386-1177
営業時間受付時間/月・火・木曜(祝日、年末年始を除く)9時〜12時、13時~15時
備考https://www.pref.kumamoto.jp/soshiki/40/101912.html

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熊本県の取り組み

特設サイトを開設 理解を深める動画も

熊本県では、「特別なことじゃない ひきこもり~県民一人ひとりが創る寛容で安心な『くまもと』~」という思いを込めて、理解の手助けになる特設サイトを開設しています。相談窓口一覧や複数の動画を見ることができます。

特設サイトはコチラ

https://hikikomori-kumamoto.com

熊本市にお住まいの方の相談・支援窓口

熊本市ひきこもり支援センター「りんく」

電話相談や、面接による相談への対応のほか、居場所開設による本人支援、家族の学習会などが行われています。まずは電話で問い合わせを。詳細はホームページで確認できます。

熊本市ひきこもり支援センター「りんく」

住所熊本市中央区大江5‐1‐1 ウェルパルくまもと 3F
TEL096-366-2220 (電話相談)
営業時間受付時間/月~金曜 9時~16時
休業日休所/土・日曜・祝日、年末年始
備考http://www.kumamoto-link.com/

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記事内の情報は掲載当時のものです。記事の公開後に予告なく変更されることがあります。

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この記事を書いた人

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