親子でウォーター・ポジティブにスイッチ!使った量以上の水保全を
熊本の宝・地下水を未来へつなぐために、私たちができることは何か?と聞かれ、「節水」を思いつく人は多いのではないでしょうか。でも、いま世界の主流になりつつあるのは、使う水の量以上に保全・涵養(かんよう)を進めていく「ウォーター・ポジティブ」という考え方です。読者モデルの豊田さん親子が熊本の地下水の魅力に触れて学び、自分たちにできることを考えてみました。
使用する水の量より多くの水を自然に供給しようという考え方です。そのためには節水だけでなく、雨水を浸透させて地下水を育んでくれる森や水田を保全・整備していくことが重要です。
地下水に触れて、学び、アクションを起こそう!
熊本には水にまつわるスポットがいっぱい。その中から、五つの場所・ものをピックアップ。水とたくさん遊んで、学んで、おいしさを味わってきました!
熊本の水を誇りに思えるようになろう!
SDGsのゴール6は「安全な水とトイレを世界中に」。世界的に、水は大きなテーマの一つとなっています。
EPO九州の澤さんによると、近年、生物多様性の損失を食い止めるだけでなく回復させていこうという『ネイチャー・ポジティブ』の考え方が広がっており、その一環でウォーター・ポジティブの考え方も生まれたそう。
とはいえ、個人で〝自然に水を供給する〟というのは大変。「まずは熊本の水がきれいでおいしいことを改めて知り、それを誇りに思うことから始めましょう」と澤さん。そうすれば水を汚さないよう気を付けたり、水保全に取り組む企業の商品を積極的に購入したりするなど行動が変化し、「ウォーター・ポジティブの後押しにつながる」とアドバイスします。
地下水に触れる 熊本市のオアシスで水の魅力体感!
水前寺江津湖公園
江津湖は、熊本の豊かな地下水を実感できる市民のオアシスとして親しまれています。全長は2.5km、周囲は6km、湖水面積は約50haあり、上江津湖と下江津湖に分かれた“ひょうたん形”をしています。その周囲をぐるりと取り囲む形で立地しているのが「水前寺江津湖公園」です。遊歩道や芝生が広がる公園が整備されており、子どもたちが水遊びできる浅めの水場もあります。
豊田さん親子は上江津地区にある「じゃぶじゃぶ池」へ。初めて江津湖に入るという2人は、「水が透き通っていてきれい」(直子さん)、「うわぁ!冷たい!」(凌久くん)と、驚いた様子。アメンボや魚を探したり、水をかけ合ったりしながら楽しく地下水の魅力に触れました。
水前寺江津湖公園
住所 | 熊本市東区江津1ほか |
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TEL | 096-360-2620(水前寺江津湖公園サービスセンター)、 096-367-5509(熊本市東区土木センター維持課) |
Webサイト | https://www.ezuko-park.com/ |
駐車場 | 350台(9時〜19時※場所や季節により異なります) |
江津湖に行ったらココにも注目!
下江津湖(広木地区)の「湧水広場」
水前寺江津湖公園の最下流部にあたる広木地区。芝生が広く見通しが良いので、小さな子どもがいる家族のピクニックスポットとしても人気。「湧水広場」では、地下水が湧き出る様子を見ることができます。
水辺のインフォメーションセンター(市動植物園西門)
熊本市動植物園の西門に2022年にオープン。江津湖の歴史や湧水の仕組みを分かりやすく解説したパネルコーナーや、江津湖にすむ魚を中心に35種ほどの生き物を展示するコーナーなどがあります。入場無料なので、気軽に立ち寄れるうれしいスポットです。
水辺のインフォメーションセンター(市動植物園西門)
住所 | 熊本市東区健軍5-14-2 熊本市動植物園西門内 |
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TEL | 096-368-4416(熊本市動植物園) |
Webサイト | https://www.ezooko.jp/ |
営業時間 | 9時〜16時30分 |
定休日 | 月曜(祝日の場合は開館、翌平日が休館。ただし第4月曜は開館、翌平日が休館) |
駐車場 | 1229台(平日は無料、土・日曜、祝日は1台200円) |
水を守る企業活動を学ぶ ウォーター・ポジティブな取り組みを見学
サントリー九州 熊本工場
「サントリー」は「水と生きる」をコーポレートメッセージに掲げ、水源涵養活動に取り組んでいます。「サントリー九州熊本工場」(嘉島町)では同社の水を守る取り組みを学び、飲料の製造工場の見学や、天然水で作った商品の試飲ができる無料の工場見学ツアーを開催しており人気です。
豊田さん親子もそのツアーに参加。まずはシアターで同社の思いや水保全への取り組みを紹介する映像を視聴しました。その中で、「国内工場で使う水の量の2倍以上の水を涵養している」ことに驚いた2人。水源涵養地となる森林の整備活動は2003年に阿蘇からスタートしたことに「親近感を覚えました」と直子さん。地下水の仕組みの模型や工場の製造ラインも見学し、最後は試飲会場へ。熊本の水で作られた製品を飲んで「おいしい!」と笑顔がはじけました。
サントリー九州 熊本工場
住所 | 上益城郡嘉島町北甘木八幡水478 |
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TEL | 096-237-3860 |
Webサイト | https://www.suntory.co.jp/factory/kyushu-kumamoto/ |
営業時間 | 9時30分〜17時(ショップは11時〜16時40分) |
定休日 | 工場休業日(臨時休業あり)、年末年始 |
駐車場 | 約100台 |
アクションを起こす くまもとグリーン農業の商品を買おう!
化学肥料の使い過ぎは地下水を汚す原因の一つ。そこで熊本県は、適切な土作りをすることで化学合成された肥料や農薬の使用をできるだけ減らすといった“環境に配慮した農業”のことを「くまもとグリーン農業」と呼び、推進しています。登録された生産者の農産物は直売所など約200店舗で販売されており、2種類のシールが目印。買って食べることで地下水を育む土を守り、生産者の応援にもつながります。
「くまもとグリーン農業」の農産物には、どちらかのマークが貼ってあります
熊本県農林水産部農業技術課
取り扱い店はホームページ参照
水循環の仕組みを学ぶ
熊本市 水の科学館
熊本市は74万市民の生活用水の全てを地下水で賄う、世界でも珍しい地下水都市です。「水の科学館」では地下水と、地下水をみんなのもとへ届ける水道、使った水をきれいにする下水道について体験学習できます(入場無料)。映像や模型、クイズコーナー、水にまつわる実験室、水遊びスポットなど楽しみいっぱい!
熊本市 水の科学館
住所 | 熊本市北区八景水谷1-11-1 |
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TEL | 096-346-1100 |
Webサイト | https://www.mizunokagakukan.jp/ |
営業時間 | 9時〜17時 |
休業日 | 月曜(祝日の場合は翌平日)、12/29〜1/3 |
席 | 44台 |
まとめの感想
熊本の水のきれいさを実感し、水を守りたいと思いました。「水を大切にする=節水」としか考えていなかったので、環境に配慮した商品を選ぶなど、できることから始めます!
おいしい水が飲めることはすごいことなんだね。いろんなことを知って楽しかったです。熊本の水をさらにおいしく感じるようになりました!