代表的な詐欺手法「ポンジ・スキーム」 「あなただけ」「ここだけ」の話にご用心
【今回のスタディー】投資詐欺
ここ1~2年ほどで、一般の方の「投資」に対する意識が急激に変化していることを実感します。少し前までは「難しそう」「怖い」といった反応が目立ちましたが、最近はiDeCoやNISAを中心に「投資しています」という方と、高い頻度でお会いするようになりました。
増える投資詐欺の被害
一方で、耳にする機会が増えているのが投資詐欺の被害です。「暗号資産で運用し、確実に月利10%以上」「元本は保険で100%保証」など、あり得ないリターンや元本保証をうたったものや、「友人知人を紹介すると、さらに報酬あり」といったマルチ商法絡みの案件も。昨今ではSNSによる勧誘も少なくないようです。
投資は「怖い」と避けていた人がなぜ、あっさりとだまされてしまうのか―。そこには巧妙な心理テクニックがあります。被害を未然に防ぐため、代表的かつ古典的な詐欺手法「ポンジ・スキーム」について知っておいていただきたいと思います。
“伝説の詐欺師”が使った手口
ポンジ・スキームとは、米国で伝説の詐欺師といわれたチャールズ・ポンジが使った手口から名付けられたものです。詐欺師はまず「あなたの代わりに資産を運用し、利益を配当します」と高利回りを約束して資金を集めます。そして約束の時期が訪れると、約束した割合のお金を出資者に還元します。すると、最初は半信半疑だった出資者も「こんなに利益が出るなら」と追加出資したり、友人・知人を紹介したりします。しかし、実際は資産運用など行われておらず、配当されたお金は、出資者から集めた資金の一部を配っているだけ。こうして出資者を増やし、ある程度の資金を集めると、詐欺師は突然、姿を消してしまうのです。
ポンジ・スキームの発祥は、今から100年も前の時代です。時代が変わり、技術が進んでも、人の心理に大きな変化はないのですね。「あなただけ」「ここだけ」のウマい話はないということも、また変わらない真実であるようです。
投資詐欺の見分け方
投資詐欺の見分け方について、右で述べた(1)異常な高利回り(2)元本保証(3)紹介報酬―のうち、どれか1つでも当てはまれば、まず詐欺を疑うべきでしょう。
「月利10%」とは、元本を3年後に10倍、5年後に50倍にする金利です。ただ預けておくだけで他人のお金を誰がそんなに殖やしてくれるというのでしょう。また、投資に元本保証は論外ですし、国内で金融商品の取引を行うには、金融商品取引法に基づく登録が必要です。正規の業者を除いては、他人に投資商品をあっせんすること自体が違法行為なのです。投資詐欺には、悪意のないまま加害者側に回ってしまう危険をはらんでいることも知っておいてください。
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