働く人たちのキャリア形成支援が目的 訓練期間中の生活を経済的にサポート【知りたい!お金の話】

【今回のスタディー】教育訓練休暇給付金
改正雇用保険法(2024年5月成立)に伴い設立された制度の一つとして、今年10月にスタートする「教育訓練休暇給付金」があります。雇用保険の被保険者が職業に関する教育訓練を受けるために無給の休暇を取得した際、その期間中の生活を経済的に支援するものです。
基本手当相当額が支給
具体的には、キャリアアップやリスキリング(学び直し)につなげていけるような職業に関する訓練を受けるための休暇を取得すると、基本手当(失業手当)相当額が雇用保険から支給されます。教育訓練期間中無給となる場合の生活費が支援されるため、働く人たちが安心して教育訓練に取り組めるようになることが期待されます。
給付金を受けられる条件として、被保険者であった期間が5年以上必要で、「無給の」教育訓練休暇を取得しなければなりません。まずは、会社に教育訓練休暇制度があるかどうかを確認してください。なお教育訓練休暇制度には、有給と無給のケースがあり、「有給」の場合は制度適用の対象になりません。
給付額は、基本手当と同じで、給付日数も同じです。雇用保険の被保険者であった期間が、10年未満なら90日、10年以上なら120日、20年以上であれば150日です。ただし、これは上限の日数のため、給付を受けられるのは休暇の間だけで、休暇が終われば打ち切られます。
加入期間の「リセット」に注意
雇用保険の加入期間は、教育訓練休暇給付金を受けると、「失業手当を受けた」という扱いになるため、雇用保険の被保険者であった期間は「リセット」されてしまいます。これにより、立て続けに教育訓練休暇給付金を受けることもできなければ、この教育訓練休暇給付金を受けた直後に退職しても、基本手当(失業手当)が受けられない場合があるため注意しましょう。
教育訓練休暇給付金の給付条件
対象者 | 雇用保険被保険者 |
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支給要件 | ・教育訓練のための休暇(無給)を取得しなければならない ・被保険者期間が5年以上必要 |
給付内容 | ・離職した場合に支給される基本手当の額と同じ ・給付日数は、被保険者期間に応じて90日、120日、150日のいずれか |
- 雇用保険の新たな給付金として実施
- 国庫負担あり〈基本手当と同じ(費用の1/4または1/40)〉
「改正雇用保険法」 その他の支援策は…
改正雇用保険法では、教育訓練休暇給付金以外にも、教育訓練やリスキリング充実などの支援策が盛り込まれています。
例えば、自己都合で退職した人が教育訓練等を自ら受けた場合、給付制限期間がなく雇用保険の基本手当を受給できるようになりました。また、教育訓練給付金について、訓練効果を高めるインセンティブ(動機付け)強化策として、雇用保険から支給される給付率が受講費用の最大70%から80%に引き上げられました。
このほか、雇用保険の被保険者ではない人で、労働の意思と能力があり、ハローワークが、教育訓練の受講が必要と認めた場合には、今秋創設される「リスキリング支援融資制度」を利用できるようになる予定です。
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