湯治の魅力を若い人にも！「地獄温泉 青風荘.」に現れたカフェでは南阿蘇に戻った次の世代が心を込めておもてなし

前回は、熊本地震や災害から立ち上がろうとする河津３兄弟が、200年以上の歴史を守りつつ、「復興だけじゃなく、より魅力ある温泉宿に」とチャレンジする姿や思いを綴りました。そこに加わったのが、３兄弟の子どもたち！パワーアップした「青風荘.」を探ります。

「湯治の魅力を若い人にも」と息子夫妻がカフェをオープン！

2024年6月、再開以来久しぶりに訪れた「地獄温泉 青風荘.」には、アイボリーのおしゃれな外観のカフェ「H_NNTO COFFEE（ホントコーヒー）」が新たに加わり、おいしい焼き菓子と軽食、コーヒーを提供していました。

宿を運営する河津３兄弟の長男・誠さんの次男・拓さんとその奥さんの美宝さんがカフェを切り盛りしています。

「小学生の頃からコーヒーが好きで、中学生の頃に出合ったエスプレッソに衝撃を受けて、阿蘇中央高校農業科でコーヒー栽培を体験し、専門学校のカフェコースに進学しました」と拓さん。

福岡で修業を重ね、クラスメイトだった美宝さんと結婚し「青風荘.」に戻った理由は、「若い世代の人たちにも湯治の魅力を知って欲しかったから」と話します。

「湯治は本当の自分に向き合える時間という思いを込めて、店名を『H _NNTO COFFEE』とOを_(アンダーバー)にすることで、さまざまな視点・自由な使い方をしてほしいと思っています」

美宝さんも、「熊本地震前に初めてここに来た時、山の中の環境と温泉の素晴らしさに驚きました。知らないことがもったいないと思いました」と話します。

フランス修業の後、スイーツを手掛けるのは…

カフェの運営には、３兄弟の次男・謙二さんの長女・沙幸さんも参加し、カフェで販売するスイーツも手がけます。

沙幸さんが作るパティスリー「Le Doux Lieu（ルドゥリュー）」のフランス菓子は、カフェで購入できるのはもちろん、客室のおもてなし菓子としても喜ばれています。

「Le Doux Lieu」には、やさしい・ほっとする場所という思いが込められています。

「元々、みんなここで生まれ育ったので、いとこ同士も兄弟のようなものなんです」（沙幸さん）

いとこの中で一番年上ということもあり、みんなのお姉さん的存在。お子さんを抱いて、敷地内を忙しく動き回っています。

沙幸さんは、フランス語を学びたいとフランスへ渡りお菓子の世界へ進み、９カ月間のフランス留学などを経て、夫と結婚後「青風荘.」に戻ってきたそうです。

さっぱりとした甘さ控えめのケーキは、コーヒーとの相性も抜群。「カフェで提供するレモネードのレモンを使用するなど、無駄のないお菓子作りも取り組んでいます」。

沙幸さんの夫は、謙二さんと同じく経理などを担当。「跡を継いでくれる人ができた」と謙二さんは大喜び。

そして、なんと、三つ星店で修業中の三男・進さんの息子さんたちも戻ってくる予定といいます。

「みんなが力をつけて戻ってきてくれるのはうれしいです。跡を継ぐということも大事ですが、自分を表現できる場になれたらと思っています」（謙二さん）

数年前に取材した際は３兄弟を撮影し、熊本地震から8年。大切な人を連れて戻ってきたお子さんたちが加わり、さらに大家族になった河津さんたち。

みんなが笑顔で語り合う様子を眺めながら、謙二さんは「理想に掲げていた建物は全て完成しました。これからは磨いていく時期です」と決意を新たにしている様子でした。

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地獄温泉 青風荘.

住所	阿蘇郡南阿蘇村河陽2327
TEL	0967-67-0005
Webサイト	http://jigoku-onsen.co.jp
営業時間	10時〜17時（15時受付終了）
休業日	火曜（祝日の場合は営業）
駐車場	複数あり

H_NNTO COFFEE

住所	H_NNTO COFFEE
TEL	070-4095-9555
Webサイト	https://www.instagram.com/h_nnto_coffee
営業時間	10時〜17時
休業日	火曜（祝日の場合は営業）
席	複数あり
駐車場	複数あり