美しく、そしてみにくい人物たち【つんどく よんどく】

一穂ミチ著
1760円 四六判 小学館
目次
恋とか愛とかやさしさなら
著者の一穂ミチさんが紡ぐ人物は、とっても生々しい。
白と黒の間に無限の色が広がっているように、人の心も単色ではない。善と悪、陰と陽、エロスとタナトス…相反するものとの間で絶えず漂い、色を変え続けている。この世に「分かりやすい人」などいないのだ。
本作で語られるどの人物も美しく、そしてみにくい。好きで、嫌いだ。100点満点の完璧な人間が存在しないのと同様に、0点のダメ人間もいない。それこそが人間の魅力なのだと、気付かせてくれる。
5年間の交際の末プロポーズされた翌日に、恋人が女子高生を盗撮して逮捕。そんな冒頭から物語は始まる。彼女は彼を許そうとし、理解しようとするが二人の溝は深まる一方。永い逡巡(しゅんじゅん)の末、彼女が彼に求めた驚きの行動とは…。
恋とか、愛とか、やさしさなら、人は救われるのだろうか。突き付けられる。
今回の担当は
一穂ミチさんの作品は『光のとこにいてね』も超超超超オススメです!

