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台湾の野球ファンと行く!初めての台湾プロ野球観戦【台湾ってこんなトコVol.19】

台湾をはじめ12カ国・地域から現地発のアジア経済ニュースを日本語で配信しているニュースメディア「NNA」。この連載では、NNA台湾の記者が台湾の暮らしや文化、習慣など、現地ならではの情報をお届けします。
(隔月更新)

この記事を書いたのは

NNA台湾記者・山田愛実

アジアの経済情報を配信するNNAの台湾編集部員。台湾の屋台グルメが好きで、週末は市場や夜市によく出かけています。特に好きなのは豆腐を発酵させて作る「臭豆腐」。独特なにおいがしますが、意外と食べやすいので台湾に来たらぜひチャレンジしてみてください。

目次

台湾では今、野球が熱い!

2024年に行われたプレミア12では台湾代表が初優勝しました(CPBL提供)
2024年に行われたプレミア12では台湾代表が初優勝しました(CPBL提供)

昔から野球が盛んな台湾。
特にここ数年はチアガール人気や新しいドーム型球場のオープン、野球の国際大会「プレミア12」での台湾の初優勝などを受けて野球ブームがますます盛り上がっています
そこで今回は、台湾のプロ野球について紹介。
台湾の野球ファンと一緒に、実際に観戦もしてきました!

台湾プロ野球の基礎知識

台湾プロ野球リーグ(中華職業棒球大聯盟、CPBL)には現在、中信ブラザーズ(中信兄弟)、統一ライオンズ(統一7-ELEVEn獅)、富邦ガーディアンズ(富邦悍将)、楽天モンキーズ(楽天桃猿)、味全ドラゴンズ(味全龍)、台鋼ホークス(台鋼雄鷹)の6球団が加盟しています。

公式戦は4~10月ごろに前・後期各チーム60試合ずつの年間120試合が行われ、公式戦の結果によって年間優勝を決めるプレーオフと台湾シリーズへの進出が決まります。

今年の成績は?

2025年前期の優勝を決めた統一ライオンズ(CPBL提供)
2025年前期の優勝を決めた統一ライオンズ(CPBL提供)

25年前期は統一ライオンズが36勝24敗で優勝しました。
統一ライオンズの半期優勝は18回目。2位は中信ブラザーズで34勝26敗でした。

現在は後期シーズン(9月28日まで)の真っ最中です。
後期の順位(9月3日時点)は、中信ブラザーズが24勝13敗で首位。以下、台鋼ホークス、味全ドラゴンズと楽天モンキーズ(同率3位)、統一ライオンズ、富邦ガーディアンズと続き、激しい戦いを繰り広げています。 各チームの成績はCPBLの公式サイト(https://www.cpbl.com.tw/)の「球隊戦績」から確認することができます。

台湾プロ野球を観戦できる場所は?

味全ドラゴンズのホーム、天母棒球場(NNA撮影)
味全ドラゴンズのホーム、天母棒球場(NNA撮影)

台北市には味全ドラゴンズの本拠地である台北市立天母棒球場(収容人数1万人)と多目的球場の台北大巨蛋(台北ドーム、同4万人)があります。台北市立天母棒球場は台北捷運(台北MRT)芝山駅からバスで約10分の、高級住宅地に囲まれた天母運動公園内にあります。
台北ドームは国父紀念館駅の目の前に位置しています。
このほか、桃園に楽天モンキーズの本拠地の桃園国際棒球場(同2万人)、台中に中信ブラザーズの本拠地の台中洲際棒球場(同2万人)、高雄に台鋼ホークスの本拠地の澄清湖棒球場(同2万人)などがあります。

台湾プロ野球のチケットの買い方

手前の機械がibonです(NNA撮影)
手前の機械がibonです(NNA撮影)

まず、いつどんな試合が開催されるのかをチェックしましょう。試合日程はCPBLの公式サイトの「スケジュール」(https://www.cpbl.com.tw/schedule)から確認できます。

見たい試合が決まったらチケットを購入します。
CPBLや各球団の公式サイトからチケットを購入することができますが、台湾の電話番号が必要な場合もあるため注意が必要です。

台湾のセブン―イレブン店内のマルチメディア端末「ibon(アイボン)」やファミリーマートの「FamiPort(ファミポート)」なら、台湾の電話番号がなくても購入できます。ibonは楽天モンキーズや統一ライオンズのチケットを、FamiPortは味全ドラゴンズや台鋼ホークス、富邦ガーディアンズのチケットを扱っています。

それぞれ、スタート画面の「購票/票券」の「運動票」などから、球団と試合、座席を選びます最後に電話番号(日本の番号でOK!)やパスポート番号を入力するとレシートが印刷されるので、レジでレシートを渡し、代金を払って発券してもらいます。 ibonチケット販売サイト(https://ticket.ibon.com.tw/)やファミマのチケット販売サイト(https://www.famifun.com.tw/)では取り扱うチケットを確認することができます。このうちibonチケット販売サイトでは日本にいながらチケットを購入することもできます

台北ドームでの試合観戦にGO!

台湾初の多目的ドーム球場、台北ドーム(NNA撮影)
台湾初の多目的ドーム球場、台北ドーム(NNA撮影)

8月9日に台北ドームで開催された試合を見てきました。台北ドームは23年末にオープンしたばかりの新しい施設。台北101がある信義区に位置し、アクセスが良いので観光客にもおすすめです。 組み合わせは楽天モンキーズ対味全ドラゴンズ。今回は日本のプロ野球に関するフェイスブックのファンページやブログを運営する台湾人野球解説者の蕭群(しょうぐん)さんが同行してくれました

蕭群さんによると、台湾のプロ野球観戦はチアガールによるパフォーマンスなどエンタメ性の高さが魅力だそう。

チアガールによるパフォーマンスなどエンタメ性の高さが魅力です

日本のプロ野球に詳しい蕭群さん(NNA撮影)
日本のプロ野球に詳しい蕭群さん(NNA撮影)

蕭群さん(ペンネーム:滾羊)プロフィール
基隆市生まれ、新北市淡水在住。金融業に従事する傍ら、日本のプロ野球に関するフェイスブックのファンページ「滾羊の一番生ビール」「台湾野球NEWS」を運営する。ファンページのフォロワー数は計6万人。テレビ番組でコメンテーターを務めた経験を持ち、メディアへの寄稿も行う。日本の好きな球団は横浜DeNAベイスターズ(出身地の基隆も港町だから)、台湾の好きな球団は台鋼ホークス(新しいチームを応援したいから)。

台北ドームの施設内を散策

焼きそばやたこ焼きを販売する店には長蛇の列ができていました(NNA撮影)
焼きそばやたこ焼きを販売する店には長蛇の列ができていました(NNA撮影)

試合開始の1時間ほど前から、たくさんの人が入場を始めていました。入場時には簡単な荷物検査がありましたが、待ち時間はごくわずかで比較的スムーズでした。
入ってみると、新しい施設なだけあってどこもピカピカ。座席を確認して、施設内を散策すると、焼きそばやたこ焼きを販売する店や今回の主催球団である楽天モンキーズのグッズのカプセルトイのコーナーがあり、あれこれ見ているとあっという間に開始時間になりました。中を見て回りたい場合は、時間に余裕を持って入場するのが良さそうです。
ちなみに台北ドームの地下入り口の外側では不定期で主催球団のポップアップショップが出店され、グッズの販売が行われます。

楽天モンキーズグッズのカプセルトイ(NNA撮影)
楽天モンキーズグッズのカプセルトイ(NNA撮影)
トイレも広くてきれいでした(NNA撮影)
トイレも広くてきれいでした(NNA撮影)

試合前後もお祭り気分で楽しめる!

今回確保した座席は内野のネット裏エリアでした(NNA撮影)
今回確保した座席は内野のネット裏エリアでした(NNA撮影)

試合の前に、会場ではピアノ演奏が行われていました。この日は、ちょうどクラシック音楽をメインとした特別イベントデー。試合の前後にアーティストによる音楽パフォーマンスが行われたほか、大型ビジョンに映し出された選手情報の画像が中世ヨーロッパの音楽家のような髪形に加工され、会場の笑いを誘っていました。
蕭群さんによると、台湾のプロ野球ではこのような企画がよくあり、観客がお祭り気分で楽しめるようになっているそうです。
個人的には、ビデオ判定時のBGMにアニメ「名探偵コナン」のテーマ曲が使われていたこともツボでした。

楽天モンキーズの林立選手はモーツァルトの名前をもじって「ヴォルフガング・アマデウス・林立」と紹介されていました(NNA撮影)
楽天モンキーズの林立選手はモーツァルトの名前をもじって「ヴォルフガング・アマデウス・林立」と紹介されていました(NNA撮影)

チアガールと一緒にチームを応援

そして台湾プロ野球といえば、忘れてはいけないのがチアガール!

中でも楽天モンキーズのチアガールである楽天ガールズは、日本でも高い知名度を誇ります。楽天モンキーズの攻撃の度に観客席の目の前の舞台にさっそうと現れ、ダンスを披露してくれました。

楽天ガールズのパフォーマンス(NNA撮影)
楽天ガールズのパフォーマンス(NNA撮影)

蕭群さんによると、台湾プロ野球のチアガールはアイドルのように球団の枠を飛び越えて活躍しており、女の子のあこがれの職業になっているそうです。

ちなみにチアガールの舞台は内野のネット裏エリアに二つあります。舞台があるエリアは特に人気で、この日も楽天ガールズの熱狂的なファンで埋まっていました。
そして会場の様子は蕭群さんの言うとおり、選手への声援を送る人、楽天ガールズのダンスに合わせて立ち上がって踊る人、持ち込んだピザで乾杯するグループがいたりととても自由な雰囲気
まさに非日常的なお祭り気分が味わえるイベントだと感じました。
ちなみに日本と違って内野でも立ち応援が可能なんだそう。

観客席は楽しい雰囲気でいっぱいでした(NNA撮影)
観客席は楽しい雰囲気でいっぱいでした(NNA撮影)

この日の試合は前半に2―2の同点となり、後半には味全ドラゴンズの李凱威選手や朱育賢選手がヒットを放ち、結果味全ドラゴンズが2点リード。9回には連続ヒットと犠牲フライでダメ押しの1点を追加し、5―2で味全ドラゴンズの勝利となりました。
試合自体も手に汗握る展開で、満足度の高い観戦体験になりました。

この日ヒットを打った味全ドラゴンズの張政禹(ちょうせいう)選手(左、NNA撮影)
この日ヒットを打った味全ドラゴンズの張政禹(ちょうせいう)選手(左、NNA撮影)

野球人気が根強い台湾ですが、蕭群さんは「観戦文化はまだまだ浅い」とみています。
蕭群さんによると、チアガール人気や台北ドームのオープン、プレミア12の優勝で観戦するファンは増えましたが、一般の人にとっては特別なアクティビティといった位置付け。蕭群さんは「仕事帰りに気軽に立ち寄る人も多く野球が日常に溶け込んでいる日本とは違う」として、「単なるブームで終わらず文化として定着していくといい」と期待を寄せます。

初心者でも楽しめる台湾プロ野球 ぜひ観戦を!

日本の読者に対しては「日本とは違った雰囲気が楽しめるため、ぜひ台湾のプロ野球観戦を体験してほしい。特別なルールもないので、気軽に来て自由に楽しんで」とコメントしてくれました。 エンターテインメント性が高く、野球ファンにはもちろん初心者にも楽しめるポイントが盛りだくさんの台湾プロ野球。台湾観光の選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。

記事内の情報は掲載当時のものです。記事の公開後に予告なく変更されることがあります。

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アジアの経済情報を配信するNNAの台湾編集部員。台湾の屋台グルメが好きで、週末は市場や夜市によく出かけています。特に好きなのは豆腐を発酵させて作る「臭豆腐」。独特なにおいがしますが、意外と食べやすいので台湾に来たらぜひチャレンジしてみてください。

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