伝説のボス猫「ロース」

200匹以上の猫が暮らす「猫島」、上天草市・湯島で、伝説のボス猫として島民や観光客に今も語り継がれているのが、キジトラ柄の雄猫「ロース」です。ロースは推定8歳だった2022年8月に、ひっそりと姿を消しました。お盆が近づくと、今でも島民有志がロースをしのぶ会を開いており、それほど特別な存在でした。


名前の由来は焼き肉のロースからきています。堂々とした体格で島全域を巡回する姿は、まさにボスの風格がありました。一方で、漁協の出張所の引き戸を自分で開けて入ってきて、営業時間中のカウンターで爆睡したり、島民の家にふらりとやってきて膝の上で甘えたりと、言葉がわかるのではと思わせるほど愛らしい面もありました。




夕暮れの港で一人撮影をしていると、どこからともなく現れ、「おい、写真を撮ってもいいぞ」と言わんばかりに、猫の石像の横で長い時間さまざまなポーズをしてくれたことも忘れられません。「最期に姿を消したのは、ボス猫なりの美学かもしれない」と島民は話しています。今はその姿を見ることはできませんが、多くの子孫たちがロースの面影を受け継いでいます。(熊本日日新聞社・岩下勉)