子どもの肥満と生活習慣病【家族の不安に応えるQ&A】
目次
Q.子どもが肥満気味です。元気にしているので問題ないでしょうか。
肥満の持続はリスクに
大人の肥満が生活習慣病(以前は成人病と呼ばれていました)につながることはよく知られています。実は、子どもであっても肥満が持続すると成人と同じように「糖尿病」「脂質異常」「肝機能異常」を起こす(発病する)ことが分かっています。
子どもの生活習慣に関する病気を予防するために、熊本市は市医師会ヘルスケアセンターに委託して、10歳児を対象にした小児生活習慣病健診に20年以上前から取り組んでいます。
この事業では、熊本市全体で約1割(約600人)の子どもが肥満状態であり、そのうち1~2割程度(100人程度)に血液検査で何らかの異常(糖尿病、脂質異常、痛風、肝機能異常、脂肪肝など)が見つかっています。異常があれば本人に通知し、精密検査施設(熊本大学病院、熊本中央病院)で検査・治療を行う体制も整っています。
子どもは回復する力が強いため、食事や生活リズムの見直し、運動の取り組みなどで改善し、内服治療までは不要なことがほとんどです。
通知が来たら必ず受診を
健診後、通知に応じて精密検査施設を受診した場合は多くが回復していますが、受診率は5割程度にとどまっています。受診しなかった子どもたちの場合、肥満のまま成人し、発病や悪化するケースが多いと予想されています。
文部科学省は、全国の学校の身体測定データを利用し、肥満を含めた成長に関わる病気を見つけるよう促していますが、受診しないケースが多いことが課題となっています。子どもたちを健康な状態で社会に送り出すのは大人の役割です。検査を勧める通知が届いたら、必ず受診しましょう。
熊本大学大学院 生命科学研究部 小児科学講座 准教授
松本 志郎さん
熊本市で行われている10歳児を対象にした小児生活習慣病健診。
異常があれば検査・治療を