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新生児に難聴を引き起こす 先天性サイトメガロウイルス感染症【家族の不安に応えるQ&A】

Q.新生児に難聴を引き起こす感染症があると聞きました

妊娠中の感染に注意

サイトメガロウイルス感染症は、大人ではリンパ節炎や肝炎などの原因になる一般的な感染症です。唾液、尿、母乳などから感染し、成人になるまでに7割の人が免疫を獲得します。しかし、免疫を持たずに成人した女性が妊娠中に感染した場合、胎児の5人に2人がこのウイルスに感染し、その中の3人に1人に何らかの症状が出現。その9割に後遺症が残るとされています。これが先天性サイトメガロウイルス感染症です。

先天性サイトメガロウイルス感染症の新生児に見られる重大な症状の一つが聴力障害(難聴)です。この難聴は、抗ウイルス薬での治療で改善が期待できます。この治療薬は2023年3月にようやく保険適用になりました。

聴力回復に重要な早期発見

聴力の回復には早く治療を開始することが重要です(生後2カ月以内)。生後、任意(自費)の「新生児聴覚スクリーニング検査」を受けることが早期発見につながります。

聴力が弱いことが分かったら、サイトメガロウイルスの感染を調べる尿検査を行います。また、難聴が他の原因による場合もあるため、耳鼻科の専門医の診察を受ける必要があります。

先天性サイトメガロウイルス感染症は検査法、治療法ともにありますが、治療薬について十分知られていないこともあり、専門医を受診した時には治療できる期間を過ぎてしまっていることがあります。

大事な子どもの将来のために聴覚スクリーニング検査をお勧めします。もし聴覚に問題が見つかった場合には、できるだけ早く耳鼻科や小児科の専門医を受診してください。

熊本大学大学院 生命科学研究部 小児科学講座 准教授

松本 志郎さん

感染症による難聴の治療に抗ウイルス薬。
早めの聴覚検査を

記事内の情報は掲載当時のものです。記事の公開後に予告なく変更されることがあります。

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