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ななみ先生と浦田先生が答えます! 住まいと暮らしのQ&A[2024 秋]

ななみ先生と浦田先生が答えます! 住まいと暮らしのQ&A[2024 秋]

日常生活はもちろん、就職や結婚、子育て、住宅購入、そして老後への備え…。さまざまなライフイベントに「お金」の悩みは尽きません。本紙「家計簿チェック」「お金の話」でおなじみの佐藤ななみ・浦田幸助両講師に、知っておきたいお金の情報について聞きました。

ファイナンシャルコーチ 佐藤ななみさん
ライフプランを柱に、家計管理・住宅資金・保険・資産形成に関する講座やコンサルティングを展開。NPO法人ら・し・さ理事として、終活やエンディングノートの普及・啓発にも取り組む。 https://financialcoach.jp/
ファイナンシャルコーチ 佐藤ななみさん
ライフプランを柱に、家計管理・住宅資金・保険・資産形成に関する講座やコンサルティングを展開。NPO法人ら・し・さ理事として、終活やエンディングノートの普及・啓発にも取り組む。
https://financialcoach.jp/
ファイナンシャルプランナー 浦田 幸助さん
浦田幸助FP事務所所長。個別相談への対応やセミナー開催など、活動は多岐にわたる。ファイナンシャルプランナー(CFP(R))、一級ファイナンシャルプランニング技能士。 https://www.sfpmoney.jp/
ファイナンシャルプランナー 浦田 幸助さん
浦田幸助FP事務所所長。個別相談への対応やセミナー開催など、活動は多岐にわたる。ファイナンシャルプランナー(CFP(R))、一級ファイナンシャルプランニング技能士。 https://www.sfpmoney.jp/
目次

効果的な予算づくりのヒントに… 今年の家計を振り返ってみて

2024年は、新NISA(少額投資非課税制度)のスタート(1月)に、新紙幣の発行(7月)と、お金に関する大きな変更が相次ぎました。10月からは、児童手当や教育訓練給付金が拡充され、最低賃金もアップ。また、社会保険の適用範囲が拡大し、金利も動き始めました。郵便料金や火災保険料も10月から大幅に値上がりしています。

今年も残り2カ月余りとなり、一年の締めくくりを意識し始める時期に差しかかってきました。ここで今一度、わが家の家計を振り返ってみてはいかがでしょう。この10カ月間で「入ってきたお金」「出ていったお金」の総額はいくらでしたか? 金融資産はどれぐらい増えた(あるいは減った)でしょうか?

実績の把握は、効果的な予算づくりのヒントになります。無意識にやっている無駄遣いも見つけられるかもしれません。ぜひ、取り組んでみてくださいね。
(佐藤)

自宅のリフォームを検討中 年金生活でローン返済に不安

自宅のリフォームを考えています。築30年を超え、予算は1千万円ほどになりそうです。年金生活が間近に迫る中、新たに住宅ローンを借りて生活していけるか不安です。老後資金を削って現金を出すべきでしょうか。

「リバースモーゲージ型」検討を 利息のみを支払い 負担が軽減

50~60歳以上の方を対象にした「リバースモーゲージ型住宅ローン」を検討する余地があるかもしれません。

通常の住宅ローンは月々の利息を支払いながら元金の返済も進めていくため、家計の負担は重くなりがちです。一方、リバースモーゲージ型は、契約者が存命中は利息のみを支払い、元金を含まないため、家計負担は軽くなります。

具体例を見てみましょう。1千万円の資金を

  1. 通常の住宅ローン(1.5%/元利均等18年返済)
  2. リバースモーゲージ型(2.7%)で借り入れた場合、月々の負担額は(1)が5万2865円なのに対し、(2)は2万2500円です。年金生活開始後の月3万円の差は決して小さくないでしょう。

リバースモーゲージ型の負担額が小さい理由は、自宅を担保に融資を受け、(A)契約者が亡くなった後で担保となった自宅の売却代金で返済、または(B)相続人が一括返済─という仕組みだからです。

ただし注意点として、

  1. 基本的に変動金利のため金利が上がると負担が増す
  2. 連帯債務者でない配偶者が同居の場合、相続発生後一定期間で退去が必要になる
  3. 自宅の評価額次第では希望の融資を受けられない

─などのリスクがあります。利用する際は十分な説明を受け、推定相続人との情報共有もしっかりしておいてください。

(佐藤)

知っ得情報

「リバースモーゲージ」の意味

「リバースモーゲージ型住宅ローン」は住宅の新築や、返済中の住宅ローンの借り換えにも利用できます。また子どもが住宅を取得する際、親が自宅を担保に資金を調達し、その資金で援助することも可能です。

さて、リバースモーゲージとは“逆抵当”を意味します。日本では福祉資金として導入されたのが始まりです。少額ずつ資金を借り入れ、最後にまとめて返済する仕組みは通常のローンとは真逆ですね。

(佐藤)

児童手当制度が10月から拡充 ポイントを知りたい

今年10月から児童手当制度が改正され、高校生の子どもも給付金の支給対象になりましたね。今回の拡充内容についてポイントを教えてください。

所得制限の撤廃、支給期間延長… 四つの改正ポイントあり

お尋ねのように、10月から児童手当の支給対象が広がり、高校生も含まれることになりました。具体的には4点が改正されました。ポイントは次の通りです。

  1. 所得制限の撤廃
    • 拡充前は所得が一定以上あると支給が制限されていましたが、所得額に関係なく支給されます。
  2. 支給期間の延長
    • 拡充前は中学3年生までが支給対象でした。拡充により、高校生年代(18歳年度末)まで支給されます。これに合わせ、高校生を扶養する親の扶養控除が縮小される見込みですが、児童手当改正のメリットの方が大きいため、負担が増えることはありません。
  3. 第3子以降の支給増額
    • 第3子以降は、0歳から高校生年代までの支給額が従来の月額1万5000円から3万円に倍増されます。また、第3子のカウントの仕方も変わります。拡充前は3きょうだいのうち第1子が18歳年度末を超えると、第3子が第2子の扱いになっていました。一定条件を満たせば、「22歳年度末」までを子どもの数に入れることになりました。
  4. 支払い月が年6回に
    • 拡充前は4カ月分が年3回に分けて給付金が支給されていました。拡充後は2カ月分ずつ年6回・偶数月に支払われます。

(浦田)

※○歳年度末とは、○歳到達後最初の3月31日を指します

児童手当制度の主な改正点

拡充前拡充後(令和6年10月~)
支払い対象15歳の年度末まで18歳の年度末まで
所得制限あり
・所得制限限度額以上特別給付(月額5,000円)
・所得制限以上で支給なし
なし
第3子以降加算額(多子加算)月額1万5,000円月額3万円
第3子以降加算のカウント方法18歳の年度末(高校卒業程度)まで22歳の年度末まで
支払い月4カ月ごとに支給(2・6・10月)2カ月ごとに支給(偶数月)

お得にリフォームしたい 利用できる優遇制度は?

マイホームのリフォームを検討しています。費用負担をできるだけ抑えたいところですが、リフォームをする場合に利用できる優遇制度はありますか。

「住宅ローン控除」と「促進税制」 二つの所得税減税制度あり

リフォームに関する優遇税制に、所得税を対象とした二つの減税制度があります。

  1. 住宅ローン控除
    • 10年以上の住宅ローンを組み、年末時点の借入額残高に0.7を掛けた値を所得税額から引くもので、一定のリフォームにも使えます。控除対象の借入限度額は2千万円で、控除期間は10年間。控除額は最大140万円です。所得税から控除しきれなかった分は住民税から差し引かれます。
  2. リフォーム促進税制
    • 一定のリフォームをすると、ローンの有無に関係なく所得税が控除されます。控除額は、対象工事限度額の範囲内で標準的な費用相当額の10%に、限度額超過分とその他リフォーム費の5%を合わせたものです。例えば、長期優良住宅化リフォーム(耐震+省エネ+耐久性)を1千万円で実施した場合、必須工事の限度額500万円に10%、超過分の500万円に5%の控除率を掛け、最大75万円が翌年の所得税から控除されます。

なお(1)と(2)は、併用はできません。いずれも期間や工事内容に要件があるため、利用する際は施工業者などに確認してください。

(浦田)

リフォーム促進税制の控除対象限度額

対象工事控除対象限度額
耐震250万円
バリアフリー200万円
省エネ250万円(350万円)
三世代同居250万円
長期優良住宅化
耐震+省エネ+耐久性
500万円(600万円)
長期優良住宅化
耐震or省エネ+耐久性
250万円(350万円)
子育て250万円
※( )内の金額は、省エネリフォームと併せて太陽光発電装置を設置する場合

知っ得情報

固定資産税の軽減措置も

リフォームに関する優遇税制には、所得税以外にも、固定資産税の減税があります。

一定のリフォーム工事を実施した場合、工事が完了した後、3カ月以内に市区町村に申告することで、固定資産税の減額を1年度分受けられます。税の軽減額は、耐震リフォームが2分の1で、バリアフリーや省エネリフォームは3分の1、長期優良住宅リフォームは3分の2となっています。

(浦田)

住宅ローンを「変動」で借入中 金利引き上げへの対策は?

住宅ローンを変動金利で借りています。今年に入り、日本銀行が2回の金利引き上げを発表。今のところ返済額は変わっていませんが、完済まで先が長く、将来が不安です。今からどんな対策ができるか教えてください。

残高を減らすために 繰り上げ返済資金の準備を

日本銀行による政策金利の引き上げを受け、全国の金融機関で9~10月、「短期プライムレート」を0.15%引き上げる動きが相次ぎました。短期プライムレートとは、金融機関が1年未満の資金を企業に貸し出す際に用いる最優遇金利のことです。変動金利の住宅ローンも、これを基準に金利が決められます。

変動金利の住宅ローンは年2回、通常10月と4月に金利が見直され、各3カ月後の返済分から新たな金利が適用されます(※)。返済中の方は、年明けあたりから影響が出てくることになりそうです。ただし、金利が上がっても直ちに月々の返済額が増えるわけではありません。返済開始から5年間は返済額を一定とする「5年ルール」が適用されるためです(※)。

では、どのような影響が考えられるか―。ローンの利息は、常に「借入残高×利率×期間」の式で計算されます。利率が上がると、利息の額が増えるため、その分、元金の返済に回る金額が減ることにつながります(元利均等返済の場合)。そうなると、元金の減りが鈍くなり、予定より多くの残高が積み残される結果を招きます。

対策は、残高を減らす工夫をすること。残高が減ると、利息の負担を抑えることができますので。そのためにも、繰り上げ返済資金の準備を進めていきたいですね。また、返済額が変更される時期に備え、差額を捻出できるよう家計を整えておくことも重要です。今一度、収支の見直しから始めてみてください。

(佐藤)

※金融機関によってルールが異なる場合があります

100万円たまったら

記事内の情報は掲載当時のものです。記事の公開後に予告なく変更されることがあります。

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この記事を書いた人

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