天明堂 川尻本店|子どもたちやインバウンド客向け「和菓子作り体験」で日本文化を伝えたい【熊本】

和菓子は日常のお菓子として楽しんでほしい日本の食文化です。しかし、饅頭や最中、饅頭など昔ながらの和菓子は食文化の変化などから需要が減ってきていると言われています。
熊本の老舗和菓子店「天明堂 川尻本店」では、和菓子を未来につなぐために、子どもたちやインバウンド向けに和菓子体験を実施しています。
「和菓子がどんな材料を使い、どんなふうに作られているのか。もっと和菓子を身近に感じてほしい」。そんな思いで和菓子体験を開いている「天明堂」8代目の北川広美さんにお話を伺いました。
モノを売るだけでなく、楽しい思い出づくりに


「楽在菓中。楽しみはお菓子の中にある。これは、私たちが大切にしている信念です。お菓子を通してさまざまな楽しさを提供していきたいと考え、コロナ禍をきっかけに和菓子体験を本格的にスタートしました」(北川広美さん)


「天明堂」といえば、江戸時代に創業した老舗店。お店のある熊本市南区川尻地区は、7代目の北川和喜さん率いる「開懐世利六菓匠(かわせりろっかしょう)」という和菓子職人のグループもある、熊本を代表する「和菓子の町」です。


広美さんが8代目に就任したのは2019年。それまでは、海外で旅行業の仕事をしており、ご主人が和菓子の技術を身につけるために一旦帰国。広美さんは接客などを手伝いながら過ごしていたそうです。期限は1年と決めていたところ、朝から晩まで忙しく働く両親の現状を目の当たりにした広美さんは、そのまま店を手伝うことを決意。ご主人も菓子職人として厨房に入ることになったと言います。
「お店を手伝っていく中で経営に興味を持つようになりました。私は和菓子を作ることができないので、これまでの経験を生かしていこうと思い、まずは和菓子のことを知ってもらうためにSNSなどの発信を始めました」(広美さん)


和菓子が何でできているのか。どれだけの時間をかけて作るのか、どれだけの手間がかかっているのかなど、表には出にくい職人の努力。モノだけでなく、背景を伝えていく中で、広美さんは、お店での和菓子体験をスタートすることを決めたと言います。
「和菓子体験は、『開懐世利六菓匠』の活動の一つとして学校訪問や公民館で行われてきましたが、コロナ禍で開催ができなくなってしまいました。その時は、家庭で体験していていただけるように和菓子キットを販売していました」(広美さん)


海外での経験が長い広美さんが、特に注目したのはインバウンド客です。「海外の方にとって、日本の文化、繊細な技術を体験できる和菓子体験は、大きなコンテンツになると考えました。しかも、何回も日本を訪れている人が求めているのは、観光地やグルメよりも、こういった日本文化を深く知ることのできる体験です」。もちろん、日本人にとっても和菓子のことを知ってもらう良い機会になると考えたそうです。


広美さんが対応できない時は、通訳を雇って対応するなど、しっかりと日本文化を伝えるための受け入れ体制も整えており、和喜さんの繊細な技術を目の当たりにしながら、自分たちでも練りきりを作ることのできる和菓子体験は、満足度が高いと言います。


この日、和菓子体験のためにお店を訪れた熊本市内の親子3人。最初は緊張しながらも、和喜さんの優しい口調と、丁寧な説明、たまに出るジョークなどもあり、終始穏やかな雰囲気で工程が進んでいきました。
体験は、自分たちで作るだけでなく、和喜さんがデモンストレーションで作ったコイの練りきりと抹茶をいただくことができます。2人のこどもたちは、和菓子を食べることも、抹茶を飲むことも初めてと言います。体験が終わっても話が盛り上がり、ついつい長くなってしまうとか。
定番の伝統和菓子から、若い人や子どもたちも親しみやすいようにアイデアが詰まった和菓子など、「天明堂」のラインナップは幅が広いのが特徴。江戸から令和に受け継がれ、さらに未来へ。時代を超えても愛される食文化を発信し続けています。
和菓子体験 1人3,850円(2名〜)1週間前までに予約をしてください
お菓子処 天明堂 川尻本店
住所 | 熊本市南区川尻1-3-39-2 |
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TEL | 096-357-9225 |
Webサイト | https://www.instagram.com/ten.meido/ |
営業時間 | 9:00-19:00 |
休業日 | なし |
駐車場 | あり |

