はしか(麻疹(ましん))【家族の心配・不安に応えるQ&A】

目次
Q.はしかに関して注意すべき点を教えてください。
感染力が強く、難しい予防
「はしか」は麻疹ウイルスに感染することで発症します。感染すると約10日の潜伏期後に、熱と鼻水、せき、目やになど風邪と似た症状が出ます。発熱3~4日目から体に赤い発疹が、口の中には「コプリック斑」と呼ばれる麻疹特有の白いブツブツが見られます。その後、高熱が7~10日間ほど続きます。気管支炎、肺炎、脳炎などの合併症が約30%の人に起こり、肺炎や脳炎で亡くなる人も多数います。
非常に感染力が強く、一人の患者さんが12~18人に空気感染させる力があることが知られています。ウイルスは感染力が強いまま空気中や物の表面に2時間くらい漂っているといわれ、手洗いやうがいなどでの予防が非常に難しい病気です。
重い合併症防ぐワクチン
2001年の流行時、全国で約30万人がかかり、80人前後が死亡したと推定されています。さらに、麻疹にかかって数年後に知能の障害とけいれんが起き、次第に寝たきりになる「亜急性硬化性全脳炎(SSPE)」と呼ばれる、治療法のない病気になる場合があります。
このような重篤な合併症の唯一の予防方法が、MR(麻疹風疹)ワクチンの予防接種です。
WHOは15年、日本を麻疹排除(野生株がいない)状態と認定しました。しかし、新型コロナウイルスの流行期に日本の子どもたちの定期接種率が低下し免疫のない人が増えていることから、増加する海外からの旅行者によって麻疹ウイルスが持ち込まれ、国内で流行が起きないか心配されています。
もし
- 予防接種を受けていない
- 2回目を受けそびれている
―場合は、子どもも成人も予防接種が推奨されています。不安な場合は、かかりつけ医に相談しましょう。
免疫のない人が増加。海外旅行者からウイルスが持ち込まれる心配も。MRワクチンの予防接種を


松本 志郎さん