未来を守る「健康診断」【医療従事者によるリレーエッセー】

暮らしに役立つ熊本の医療情報をお届けします。
監修/公益財団法人肥後医育振興会
目次
慈愛の心 医心伝心 vol.136
あまり一般には知られていませんが、学校保健安全法という法律で、学校は毎年6月末までに規定の検診を全て実施するよう定められています。学校に通うお子さんのいるご家庭には検診結果が届いた頃ではないでしょうか。
私は現在、県立高校に勤めていますが、高校生にもなると家族との会話が少なくなり、学校で配られたプリントを見せてくれない…なんて話も耳にします。学校としてはご家庭にお知らせが届くようにいろいろと工夫し努力していますが、なかなか難しいところです。
養護教諭として仕事する中で、健康診断に関して悲しい経験もしました。精密検査が必要と判断された生徒さんが精密検査を受けずにいたために症状が重くなり、最終的には内定をもらっていた会社の仕事に就くことが難しくなってしまったのです。
大人が受ける健康診断や人間ドックもそうですが、学校の健康診断も「受けて、結果を見たら終わり」ではありません。結果から自分の生活習慣を見直し、異常が見つかった時は速やかに精密検査を受けることが大切です。それをして初めて健康診断が意味あるものになります。
ここ数年感じるのは、「精密検査が必要」とお知らせしても受診につながらないケースが増えていることです。受診しない理由や事情はさまざまだとは思いますが、お子さんの将来に関わる大事な検査です。受診していただくことを切に願っています。

