MENU

イベント情報

熊本豪雨から2年 「再生」を支える人たち

熊本豪雨から2年 「再生」を支える人たち

熊本豪雨から2年 「再生」を支える人たち 県南部を中心に甚大な被害をもたらした令和2年の熊本豪雨から、間もなく2年を迎えます。住宅再建やインフラ復旧などが進んでいますが、被災者の心の復興支援も大切です。被災地での暮らしの「再生」に向けて支える3人を紹介します。

防災講座を各地で開く 気象予報士
被災した写真の洗浄をする 公務員
災害ボランティアを続ける 大学生
目次

皆が笑って暮らせるように

大学生、公務員、気象予報士の3人。立場は違うけれど、願いは同じ「被災地の一日も早い復興」です。
被災した人たちが生活の再建を果たし、笑って暮らせるように。
自分ができることで応援しています。

奉仕活動のリーダー 経験生かし働きたい

熊本学園大 社会福祉学部4年 山北翔大さん
熊本学園大 社会福祉学部4年 山北翔大さん
大学の「ボランティアセンター」で学生スタッフも務めます。
「災害ボランティアは、学生たちの仕事観を変えるほどの影響力があります」

熊本学園大社会福祉学部の学生が中心となり、熊本豪雨被災地の支援活動をする「社福災害学生ボランティアグループ」。代表の山北翔大さん(21)は人吉市の出身で、故郷の復旧のために発生直後から活動を続けています。「豪雨が降った朝、母からLINEメッセージで『川があふれそう』と届いていました。それから連絡がつかなくなり、支援物資を背負い実家へ向かうことにしました」

しばらく学校を休むことを教授に相談したところ、教授から同行の申し出があり、共に人吉へ。そして、教授と学生らが被災地を訪ねるボランティアチームの活動に発展しました。避難所に支援物資を配布するほか、地域住民への野菜スープの配布、被災家屋の泥出し作業、仮設団地の訪問活動などを実施。住み慣れた土地を離れ孤独を感じるとの声を受けて、仮設入居者と学生との交流会「つながるカフェ」も開催しました。現在も30人のメンバーが週末を使い、月2回の活動を続けています。

山北さんは今年、就職活動をします。「社会福祉だけでなく復興や減災など、ボランティアで得た知識や体験も生かしたい。デスクワークよりも災害の現場に近いところに出て働きたい希望があります。医療機関や社会福祉協議会などを視野に入れて、就活を頑張ります」

2020年7月、人吉市で被災した家屋の泥出し作業をする学生たち
2020年7月、人吉市で被災した家屋の泥出し作業をする学生たち
同年10月、人吉城跡の仮設団地で開催した「つながるカフェ」の様子
同年10月、人吉城跡の仮設団地で開催した「つながるカフェ」の様子

「被災した写真は洗えることをぜひ知ってほしい」

被災直後は命を守ることに精いっぱいで、写真にまで気が回らない人がほとんど。「被災した写真は洗えることをぜひ知ってほしい」
被災直後は命を守ることに精いっぱいで、写真にまで気が回らない人がほとんど。「被災した写真は洗えることをぜひ知ってほしい」

県職員として球磨地域の農業振興に携わる菊陽町の島田昌幸さん(54)は、毎週末にボランティア活動をしています。熊本豪雨が起こった直後は「県庁ボランティア隊」の一員として被災家屋の泥出し作業に参加。しかし被災地の惨状を目の当たりにし、無理をして作業を続けたことから椎間板ヘルニアを発症。「役に立てない自分がもどかしくて、座った状態でもできることはないかと探して見つけたのが、被災写真の洗浄ボランティア活動でした」

「あらいぐま熊本」が2020年に始めた洗浄の活動に、島田さんは初期メンバーとして参加。最近は高校生や大学生らの参加も増えているそう。被災者から預かった写真は一度乾燥させ、フィルムを剝がして水に浸します。劣化した部分をスポンジで洗い流し、さらにアルコールで拭いて仕上げます。これまでに預かった写真は約9万3000枚で、5万枚を返却しています。「ある女性の写真を洗浄した時のこと。ご自身の誕生シーンから成人、結婚、出産、お子さんの成長を記録した一連の写真に、人生のドラマを見ているようでした。思い出を、きれいにしてお返ししたいです」

現在もボランティアを募集しています。「最後の一枚まで返却することが私たちの使命です」

写真洗浄作業の様子。預かった写真は一枚一枚丁寧に扱います
写真洗浄作業の様子。預かった写真は一枚一枚丁寧に扱います
今年3月に人吉市で行った写真返却会では7人の依頼者に返却。涙ぐんで喜ぶ依頼者の姿にボランティアメンバーも心を打たれました
今年3月に人吉市で行った写真返却会では7人の依頼者に返却。涙ぐんで喜ぶ依頼者の姿にボランティアメンバーも心を打たれました

日頃の備えが大切 防災教育広めたい

気象予報士 早田 蛍さん知識の普及活動で九州圏内を飛び回る毎日。「参加者には『災害はいつか起こるかもではなく、必ず起こる』と強く伝えています」
気象予報士 早田 蛍さん
知識の普及活動で九州圏内を飛び回る毎日。「参加者には『災害はいつか起こるかもではなく、必ず起こる』と強く伝えています」

八代市に住む気象予報士の早田蛍さん(35)は、坂本町の出身。大雨が降ると球磨川があふれ、土砂災害が頻発する地域で育ちました。「大雨を事前に予測して、人々の命を守れないかと考えたのが気象予報士を目指したきっかけです」

熊本豪雨発生の2週間前には、母校の坂本中学校で防災ワークショップを開いていました。生徒各自が避難場所や経路を考え、行動計画をまとめた直後の発生でした。「自宅に被害を受けた生徒もいましたが、人的被害はなかったと校長先生から伺い本当に安心しました。生徒たちが率先して弟や妹、お年寄りに声を掛けて避難したそうで、防災教育の重要性を改めて強く感じました」

3児の母である早田さんの教育方針は「自分で命を守れる子を育てる」こと。自宅で予告なしに防災訓練をすることもあるとか。「今日は電気を使えません。何が食べられるかな?」と問い掛けると、子どもが自ら考え、行動し、日頃の備えなどへの意識を高めるといいます。

現在は気象防災講演のほか学校や地域に寄り添った防災ワークショップなど年間60回以上開いています。「自助、共助の力を付けるお手伝いをすることが、気象予報士としての私の役目です」

熊本市中央区の大江校区での防災ワークショップでは早田さんの指導で、避難時の行動計画をまとめました
熊本市中央区の大江校区での防災ワークショップでは早田さんの指導で、避難時の行動計画をまとめました

復興映画祭が被災地で開催

熊本地震からの復興を支援しようと2017年にスタートした「くまもと復興映画祭」。今年は、20年の熊本豪雨の被災地を元気づけるため、「球磨川特別編」として人吉市など流域4市町村で開催されました。4会場をオンラインで結んだトークでは、俳優のオダギリジョーさんや映画監督の行定勲さんらが被災地域から集まった住民にエールを送りました。

義援金受け付け継続中

県は、熊本豪雨で被害を受けた人たちを支援する義援金口座を開設中。被災地の復興に向けて協力を呼び掛けています。義援金の受け付けは9月30日まで。

義援金受入口座

・肥後銀行 県庁支店 普通預金
1665605

・熊本銀行 本店営業部 普通預金
3184550

・ゆうちょ銀行
00910‐7‐333729

口座名義

熊本県南豪雨義援金 熊本県知事
蒲島郁夫
(クマモトケンナンゴウウギエンキン)

※同一金融機関からの窓口での振込手数料は免除(ATMは有料)
※ゆうちょ銀行への送金は、全国の貯金窓口から「通常払い込み」の扱いに限り手数料が免除(ATMは有料)

県健康福祉政策課

096-333-2819

記事内の情報は掲載当時のものです。記事の公開後に予告なく変更されることがあります。

熊本豪雨から2年 「再生」を支える人たち

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

熊本市を中心に31万部戸別配布のフリーペーパー「くまにち すぱいす」がお届けする、熊本の暮らしに役立つ生活情報サイトです。

目次