若い女の子に増える性感染症【医療従事者によるリレーエッセー】
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vol.122
産婦人科医になって17年目。最近、20歳前後の性感染症の増加が気になっています。昨年は尖圭(せんけい)コンジローマの紹介が多くありました。
性感染症の一つである尖圭コンジローマの全国の感染者数は2023年に過去10年で最多となり、女性では20代前半の患者数が増加し続けています。その原因は性行為によるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染です。女性では外陰部や肛門周囲、腟内、子宮の入り口に鶏のトサカのようないぼを作ります。
私が診た若い女性の一人は外陰部にイボができ、増えてくるため近所の産婦人科医を受診。外陰部の病変には外用薬が効きますが、腟内の病変には使えません。そのため外科的な治療(切除や焼灼(しょうしゃく))が必要で紹介されてきました。大学の講義や試験、サークル活動の合間に手術を予定。病変が多いと一度では切除し切れません。コンジローマは再発することも多く、再手術が必要となる場合もあります。手術は痛みを伴いますし、通院は数カ月にわたります。治癒するまでは本当につらいと思います。
病変が増える前に治療を開始することが完治への早道です。もしおかしいなと感じたら産婦人科を受診してください。
尖圭コンジローマはワクチンによる予防ができます。子宮頸(けい)がんの原因となるウイルスとして有名なHPVですが、尖圭コンジローマの原因となるのは異なるタイプの6、11型など。HPVワクチンの中で4価と9価ワクチンは6、11型も予防できます。