あなたにも、きっと【医療従事者によるリレーエッセー】

暮らしに役立つ熊本の医療情報をお届けします。
監修/公益財団法人肥後医育振興会
目次
慈愛の心 医心伝心 vol.140
「木崎さん、大変よ」と玄関のチャイムと同時に隣の住人の声。今年8月10日夜11時過ぎ。線状降水帯の発生は確認していましたが、まさかわが集合住宅辺り一面が冠水するとは。建物の1階部分の駐車場では、ほとんどの車が車体上半分を残し浸水していました。
1階の電気系統が冠水し故障。11日朝からエレベーターは動かず水も出ず。かろうじて階上の電気系統に被害がなく、避難生活は免れました。
日頃はあいさつを交わす程度のお隣さんが「浴槽に水をためとった。少し分けてあげる」と、バケツを提げて来られる。3世帯で車に乗り合わせてコインランドリーへ。「買い出しに行くけど何か必要なら言って」「5階まで荷物運びを手伝うよ」の声かけをいただく―。
集合住宅内での支え合いが3週間ほど続きました。自身も困難な時に他の人たちを気遣う心。「人間っていいなあ」としみじみ思った次第です。
さて、私はこれまで20年以上、福祉職として障がいのある人や難病で苦しむ人たちの相談支援をしてきました。そんな中、本人やその身近な人たちの「がん」に対する相談が年々増加してきました。
そのような方々に寄り添うことができるようにと、「がん医療ネットワークナビゲーター」の養成講座を学びました。その名の通り、がん患者やそのご家族が安心して地域で暮らせるように各関係機関との連携支援を図るものです。
今、がんやその他の病、困難で心が不安な方へ。
「あなたの周りを見渡してみては。人生の醍醐味(だいごみ)は、人との出会い、つながりにあると思いませんか。あなたにも、きっと!」


木崎 千惠子さん





















