母国の混乱に翻弄（ほんろう）された伝説のアーティストの生涯【カルチャールーム】

ボブ・マーリー：ONE LOVE 5/17（金）公開

36歳の若さで世を去った伝説的レゲエミュージシャン、ボブ・マーリーの波乱に満ちた人生を描いた伝記映画です。

1976年、独立後で混乱するジャマイカ。シンガー・ソングライターのボブは、その国民的人気のため政権争いに巻き込まれ、暗殺されそうになります。ロンドンへ逃れた彼は世界的スターになりますが…。

主人公が銃撃されるなど、ミュージシャンの伝記映画には珍しい重めの出だしですが、途中からは創作の苦悩や私生活のトラブルもきちんと押さえた王道の展開に。随所に散りばめられた彼のヒット曲が、作品の土台にあるシリアスさを和らげています。上映時間も2時間弱とスッキリまとまっていて、とても見やすいつくりです。

社会的にも大きな功績を遺したボブの生きざまと名曲の数々が心に染みる映画です。

（フリーライター 上妻祥浩）