「人生楽ありゃ苦もあるさ」いつの世も変わらない人生訓【円盤で時間旅行130回(最終回)嶋田宣明】
最初の担当者から「嶋田さん、レコードの話を書いてみませんか」と言われ、コラムがスタートして11年。自分でもこんなに長く続くとは思っていませんでした。スキルがあるから書くのではなく、書くことによってスキルアップし、いろいろな知識を身に付けることができたのも、このコラムのおかげです。前職のコピーライター時代に知恵を絞った経験も、無駄ではなかったと感じています。
最終回で何の曲を取り上げようか散々悩んで選んだのが「ああ人生に涙あり」。おなじみのテレビ時代劇「水戸黄門」の主題歌です。「人生楽ありゃ苦もあるさ 涙の後には虹も出る」「人生勇気が必要だ」「なんにもしないで生きるより 何かを求めて生きようよ」─いつの時代にも変わることのない人生訓のような歌詞が勇ましいボレロのリズムで流れてくると、くよくよするより、前を向いて進もうと勇気づけられるのです。
「ロック以外は音楽じゃない!」などとほざいていた若者(私)が日本の音楽に目覚め、歌謡曲にトキメキ、演歌に涙する。年を重ねることで気付いた音楽の楽しさは、これからも新しい発見に満ちていくことでしょう。「感性と感性を結び付けるもの」─これが、私が音楽に求める全てです。音楽のおかげでたくさんの仲間とも出会えました。では最後に「ああ人生に涙あり」お聴きください。
※今回紹介したレコードは3月19日(火)放送のFM791「昭和名曲堂コモエスタ辛島町」(16時~18時55分)で放送する予定です。