散策しながら芸術を楽しむ! 壁にあるアート
すぱいすフォーカス
日常の景色の中になじんでいたり、建物の一部となっていたりして、豊かな空間をつくり出してくれる壁画や壁のレリーフ。普段何げなく目にしていても「実は価値ある作品だった」というスポットもあるものです。日常の景色の中に点在する壁アートを見つけてきました。
熊本学園大学 14号館外壁
解体寸前の大壁画を、大学学舎に移設
熊本学園大学の道路沿いに建つ「14号館」(60周年記念会館)の外壁に、巨大モザイク壁画を望むことができます。これは、洋画家・故海老原喜之助氏が制作した「蝶」。かつて新市街の東宝会館にあったものですが、アーケード設置によって隠れてしまい、建物自体も2007年解体されることに。その際、ちょうど建築中だった14号館に壁画が移築されました。都市開発によって一度は隠れ、廃棄寸前までいった芸術作品が、今も色鮮やかにキャンパスを彩っています。
熊本学園大学
住所 | 熊本市中央区大江2‐5‐1 |
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TEL | 096-364-5161(代表) |
熊本県立美術館(本館)
芸術空間に、2つの壁アート
1階喫茶室テラスにあり、二の丸公園側からも見えるレリーフ「殉教者」。こちらも海老原喜之助氏作で、小峯墓地の忠霊塔のレリーフの石こう原型をもとに作られています。忠霊塔は青銅色、こちらは外壁に合わせた銅色で、バリエーションを楽しめます。また館内には、戦前にアメリカで活躍した早世の画家・野田英夫氏の作品も。彼の母校・ピードモント高校に描いた壁画が解体されることになり、「少年時代を過ごした熊本へ」と1992年にアメリカから同館へ設置されたというストーリーがあります。
[展覧会]エビハラがいた時代:1945-1976
戦後、熊本の美術をけん引した画家・海老原喜之助(1904~70)。熊本で制作活動を行う傍ら、若手画家育成や地域文化の活性化にも尽くした彼の活動の軌跡をたどる展覧会です。本欄で紹介した壁画「蝶」、レリーフ「殉教者」の原画も登場します。
期 間/2月25日(金)〜3月30日(水)
会 場/熊本県立美術館 本館第1展示室
観覧料/一般1100円、大学生900円、高校生以下無料
熊本県立美術館(本館)
大劇会館 外壁
1969年当時の外壁デザインが復活
昨年7月、通町筋にある「大劇会館」に、1969年創建当時のレトロな外壁が復元されました。「日本近代建築の父」と呼ばれるチェコ出身の建築家、アントニン・レーモンド夫妻によるデザインで、縦20×横31m、有田焼のタイル約6万5000枚が使われています。1990年代より化粧板で覆われていましたが、熊本地震の補修工事の際に当時のタイルが7割以上残っていることが分かり、3年かけて復元。レトロモダンな幾何学模様が、市街地のアートな景色をつくり出しています。
株式会社 大劇
熊本市役所 本庁舎
まるで美術館!?至る所に壁画が
1981年に建てられた熊本市役所本庁舎。「熊本の地方文化の高揚に努める」というテーマのもと、故坂本善三氏をはじめとした在熊作家を中心に、熊本を題材にした美術作品が庁舎内の各所に設置されました。壁画・壁作品だけでも9点があり、庁舎で市民がよく訪れる場所でも「実は作品だった」という壁面も。築40年以上がたち、日常の景色の中に芸術が自然となじむ空間となっています。
熊本市役所(管財課)
住所 | 熊本市中央区手取本町1‐1 |
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TEL | 096-328-2111(代表) |