熊本地震から8年 記憶伝えるスポット巡り
熊本地震発生から8年。県内には地震の記憶を伝える「震災ミュージアム」の施設が相次ぎオープンし、家族連れで見学することができます。元日に発生した能登半島地震を受け、あらためて防災への関心も高まっています。「あの日」を振り返り、日常の備えについて考えましょう。
震災遺構を巡り 熊本地震の教訓学ぼう
南阿蘇村にある「KIOKU」や熊本県防災センターなどの「震災ミュージアム」を巡り、日ごろの備えについて考えました。
回廊形式の「震災ミュージアム」にGO!
回廊形式の「震災ミュージアム」を知っていますか。2016年の熊本地震の経験や教訓を学び、風化させることなく後世に伝えるため、県と九つの市町村が進めている取り組みです。
中核拠点は、県庁内に昨年5月オープンした「熊本県防災センター展示・学習室」と、昨年7月に完成した展示施設「KIOKU」が立つ旧東海大学阿蘇キャンパス。2カ所とも展示を通して熊本地震の被災状況や防災について学ぶことができます。
「震災ミュージアム」はこのほか、
- 地表に現れた断層や被災状況を見ることができる震災遺構
- 復興に向けた活動拠点
- 地域の魅力を伝える観光施設
ーなどで構成。マイカーを使って日帰りで複数の遺構や拠点を回ることができます。
今回は、熊本市に住む山本さん家族が春休みを利用して「震災ミュージアム」を巡りました。
熊本地震 震災ミュージアムKIOKU
見て、体験して地震について考える
旧東海大学阿蘇キャンパス内に、昨年7月オープン。展示されているのは、ひずんだ阿蘇大橋の看板や、土砂に埋まった自動車といった震災遺物です。熊本地震の震度分布を表す巨大ジオラマや布田川断層の標本などからは熊本地震の規模を学べます。断層のずれ方や液状化の仕組みを説明する装置もあります。
熊本地震 震災ミュージアムKIOKU
住所 | 南阿蘇村河陽5343-1 |
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TEL | 0967-65-8065 |
開館時間 | 9:00~17:00(最終入館16:30) |
観覧料 | 500円(県内小・中学、高校生無料)(県外中学、高校生400円、県外小学生300円) |
休館日 | 月曜、12月29日~1月3日 |
熊本県防災センター 展示・学習室
熊本で発生した災害の特徴が学べる
熊本地震、2020年の熊本豪雨などの経験を伝える防災学習拠点として、昨年5月にオープン。1階の展示・学習室では、展示パネルやプロジェクションマッピング、VR防災体験などを通し、過去に県内で起きた大規模災害の被害状況や災害発生のメカニズム、防災の取り組みを学べます。
熊本県防災センター 展示・学習室
住所 | 熊本市中央区水前寺6-18-1 防災センター1階 |
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TEL | 096-333-2111 |
開館時間 | 9:00〜17:00 |
入館料 | 無料 |
休館日 | 土・日曜、祝日、12月29日~1月3日 |
震災遺構
「熊本地震震災ミュージアム」のサイトで紹介されている地震直後の写真と現在の様子を比較してみると、復興の軌跡を感じることができます。
旧東海大学阿蘇キャンパス
南阿蘇村(河陽地区)
震度6の揺れを受けながら倒壊しなかった旧東海大学阿蘇校舎1号館と、地表に現れた断層が保存されている震災遺構です。敷地内には「ONE PIECE熊本復興プロジェクト」のニコ・ロビン像が設置されています。
阿蘇大橋(残った橋桁など)
南阿蘇村(河陽地区)
本震で落橋した阿蘇大橋。崩落した橋の一部は今も峡谷に引っかかる形で残っています。熊本地震で最大級の斜面崩壊の被害を伝えるために建てられた「数鹿流(すがる)崩之碑」がある展望所から見学することができます。
阿蘇大橋
住所 | 南阿蘇村河陽4931-2付近 |
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駐車場 | 数鹿流崩之碑展望所 |
国天然記念物「布田川断層帯」
益城町(杉堂地区)
潮井自然公園内にある「潮井神社」境内には、熊本地震で出現した断層と、根元から倒壊した御神木の榎(えのき)の巨木が残されています。また、地震により横にずれた拝殿までの参詣道石段を見ることができます。
国天然記念物「布田川断層帯」
住所 | 上益城郡益城町杉堂1341 |
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駐車場 | 潮井自然公園内 |
江藤家住宅
大津町(陣内地区)
江戸時代末期の姿を今に伝える郷士屋敷で、国指定重要文化財。熊本地震で屋敷に大きな被害が出たため、7年をかけて復旧工事が行われました。現在は敷地外からの見学のみ可能で、敷地内の一般公開は年に2回開催されています。
江藤家住宅
住所 | 菊池郡大津町陣内1652 |
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駐車場 | なし |
震災ミュージアムを巡って思ったこと…
最近は熊本地震のことを忘れがちで、振り返る良い機会となりました。将来に向けてどう生きていくべきかをあらためて考えました。
今日いろんなお話を聞いて、地震は怖いものだと思いました。でも、いつもと違う体験ができてとても楽しかったです。
熊本地震の被害の大きさを実感しました。もし災害が起こったら、まず自分の命を守って、友達を助けようと思いました。
地震の発生メカニズムや被害について、より深く知ることができました。今日から”日常的な備え”を実行しようと思います。
日常生活で防災を考えよう
住んでいる地域や家族構成などによって、災害への備え方は異なります。防災に関する情報を知り、〝自分はどういう災害に備えるべきか〟を考えてみませんか。災害ごとに分類されたハザードマップを見ると、津波、液状化など想定される具体的な被災情報が得られます。家族でタイムライン(防災行動計画)について話し合っておくことも重要です。
被災後は、車中泊や避難所など避難する場所によって備えるモノが変わります。携帯電話のモバイルバッテリーや生理用品など、1泊できる程度のモノは「0次避難品」として携帯することがおすすめです。そして、お祭りや行事などを通して、日ごろから地域の人と顔の見える関係を築いておくことも大切です。
ハザードマップやタイムラインなどの作成・確認を
非常持ち出し品の「1次」の備えだけでなくいつも携帯する「0次」、安心ストック品の「2次」の備えも
平常時に顔が見える関係を構築しておこう
「くまもと防災士会」が防災イベントを開催しました
竹内さんが代表理事を務める「NPO法人くまもと防災士会」は3月10日(日)、「我が家の防災を考えよう」をテーマに熊本市内の住宅展示場でイベントを開催。当日は防災食体験、クイズ、ゲームなどを企画し、家族連れらが参加しました。
お知らせ
九州初の「ぼうさいこくたい」が10月、熊本市で開催
全国最大級の防災イベント「ぼうさいこくたい2024」が10月19日(土)〜20日(日)の日程で、熊本市で開催されます。国民の防災意識向上のため、内閣府が2016年度から毎年開催しています。約300の団体・機関が出展。防災に関する講演やブース展示、野外展示などが実施され、誰でも参加することができます。