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高市内閣が掲げる経済対策の一つ 昨今の急激な物価高の緩和に期待【知りたい!お金の話】

知りたい!お金の話 今回教えてくれるのは佐藤ななみさん

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【今回のスタディー】ガソリン暫定税率廃止

憲政史上初の女性首相が先月、誕生しました。高市早苗首相は「強い経済」を所信とし、経済成長に向けた積極財政の方針を掲げています。最優先とする物価高対策の具体的な取り組みとして、ガソリン税の暫定税率を年内いっぱいで廃止することも表明しました。

ところで、ガソリン税の“暫定税率”とは、どのようなもので、いつから始まったのかご存じですか。ガソリン税の正式名称は揮発油税(および地方揮発油税)で、「ガソリン1リットルあたり28.7円」が本則税率です。暫定税率は田中角栄氏が首相を務めていた1974年、「第7次道路整備五カ年計画」の財源確保を目的として、期間限定で本則税率に上乗せされたのが始まりでした。

ちなみに”暫定”とは、「一時的」や「仮」といった意味です。初めはほんの数年の「仮の制度」だったはずが、延長を繰り返して半世紀を超えて続いてきたのですね。また当初は、「道路特定財源」ということで、文字通り道路関係にしか使えない資金として規定されていましたが、2009年には一般財源化され、使途を限定せずに使われるようになりました。

暫定税率に話を戻すと、「1リットルあたり25.1円」が本則税率に上乗せされています。ガソリン価格には他に「1リットルあたり2.8円」の石油石炭税も含まれており、購入時には消費税も加算されますね。11月初旬のレギュラーガソリンの店頭価格を参考に、「1リットルあたり173円」として計算してみると、うち72.4円は税が占めており、ガソリンそのものの価格は6割程度ということになりそうです。

ガソリン価格は、家計が直接的に支出する自家用車などの燃料費にとどまらず、あらゆる物の価格に波及します。燃料費は物流コストに跳ね返り、食料品や日用品の値段にまで、静かに、確実に影響を与えているのです。ガソリン暫定税率の廃止が、昨今の急激な物価高を少しでも緩和してくれることに期待したいと思います。

ガソリン1リットル当たりの小売価格の内訳暫定税率が廃止されると、これまでのガソリン税53.8円(暫定税率25.1円+本則税率28.7円)が、本則税率28.7円(ガソリン税)となる

軽油引取税も暫定税率廃止

本文中の「燃料費は物流コストに跳ね返る」に違和感を持たれた方もおられるかもしれません。「輸送用トラックの燃料って、主に軽油では?…」

はい、その通りです。今回、軽油引取税についても2025年度末をもって暫定税率廃止が決まっています。ちなみに、軽油引取税の本則税率は「1リットルあたり15円」で、暫定税率は「17.1円」。なんと!本則を超える金額が上乗せされていたのですね。

余談ですが、軽油引取税には、特定の条件・使途において免税となる措置が設けられています。例えば、廃食用油などを原料としたバイオディーゼル燃料(100%のもの)には軽油引取税が課税されません。

記事内の情報は掲載当時のものです。記事の公開後に予告なく変更されることがあります。

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この記事を書いた人

ライフプランを柱に、家計管理・住宅資金・保険・資産形成に関する講座やコンサルティングを展開。NPO法人ら・し・さ理事として、終活やエンディングノートの普及・啓発活動にも取り組む。

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