【538号】カルチャールーム – 円盤で時間旅行 嶋田宣明
ラジオが生みの母、TVが育ての親 コマーシャルソングの温故知新
私たちの毎日の生活の中に溶け込んでいるのがコマーシャルソング(以下CMソング)。このCMソングの歴史は、民放ラジオの開局と同時に始まり、TVで花開いたといってもいいでしょう。ひと口にCMソングといっても、そのスタイルはさまざまです。オーソドックスな商品名スリ込みの連呼型から、その商品の効用を歌い購買意欲をあおる説得型、化粧品メーカーのキャンペーン等から生まれたイメージソングと呼ばれるものまで千差万別。毎日、目と耳から送り込まれるその情報は、商品を前にした時、影響力を発揮することもあり、会社やメーカーも次々と新しいCMを作ることとなるのです。
今回ご紹介するレコードは「懐かしのTV・CM大全集」という2枚組のLP。1954年から1973年までという、かなり昔のCMソングばかりを132曲も集めた珍盤です。時代を追って一つ一つ聴いてみると、子どもの頃に口ずさんでいた懐かしいフレーズが次から次へと出てくるではありませんか。15秒から60秒という短い時間の中に散りばめられたさまざまなスタイルの歌やメッセージは、今聴いても新鮮な驚きや発見に満ちていて飽きることがありません。
最近の若者には聴いてもチンプンカンプンな歌ばかりと思いますが、常に時代を刺激して生まれてきたCMソングには、今の音楽を育んできた時代のパワーのようなものを感じるのです。鼻歌で覚えたあの記憶を、あなたも思い出してみませんか?
※今回紹介した曲は8月25日(火)放送のFM791「昭和名曲堂コモエスタ辛島町」(16時~18時55分)で放送する予定です。
しまだ・のぶあき/1951年生まれ、熊本市出身。東京のデザイン会社でコピーライターとして社会人デビュー。帰熊後、広告代理店でコピーライター&プランナーとして活躍。現在はFM791「昭和名曲堂コモエスタ辛島町」(火曜・16時~18時55分)、RKKラジオ「昭和歌謡大作戦」(日曜・20時~20時55分)の選曲家、パーソナリティーを務め、幅広い年齢層に昭和の曲を届けている。