かわいく・おしゃれに進化中 今どき日本酒
フルーティーな香り、スタイリッシュなボトル…。今どきの“日本酒”は、味わいも見た目もおしゃれに進化しています。熊本の蔵元や全国の地酒など、ビギナーも楽しめる日本酒の世界をのぞいてみました。今年の冬は、日本酒で乾杯しませんか。
酒蔵で楽しみ 家飲みで酔う 進化系日本酒
近年リニューアルしたおしゃれな酒蔵やスタイリッシュなデザインのボトルなど、すてきな日本酒の世界をご紹介。蔵元や酒店の店主に最近の傾向についても聞きました。
デザインや度数の変化で手に取りやすいお酒に
日本酒は米とこうじを発酵・熟成させて造り、同じ銘柄でも酒米の品種や酵母の種類、発売される時季により、味わいが全く異なります。「最近では、酒米の栽培から手掛けたり、手間の掛かる生酛(きもと)造りや山廃(やまはい)仕込みといった伝統的な酒造りにチャレンジしたりする蔵元が増えています」と『いのもと酒店』(東区帯山)の猪本順子さん。
近年はアルコール度数が12~13度の低アルコールタイプや、喉越しの良いスパークリングタイプも増えています。飲みやすく、いろいろなジャンルの料理に合わせやすいので、幅広い年代から支持されているそう。さらに、洗練されたデザインのボトルやラベルの影響もあり、「ハードルが高いお酒」から「手に取りやすいお酒」へイメージも変化。インスピレーションで〝パケ買い〟する人も増えています。
通潤酒造
生まれ変わった江戸の酒蔵 コラボ酒で新たなファンも
「おいしさだけでなく、楽しい時間も届けたい」と話す『通潤酒造』の山下社長。ネーミングやパッケージは「どんなシーンで飲んでほしいか」を想定して考え、マンガやアーティストとのコラボも積極的に展開。日本酒ファンの拡大に一役買っています。また、歴史ある酒蔵を訪ねてくる人も多く、お目当ては2019年春に登場した「寛政蔵」。熊本地震で損壊した江戸中期の蔵をリノベーションした空間で、ランチやスイーツ、利き酒…と、お酒を飲む人も飲まない人も楽しめます。
どんな酒蔵?
山都町のシンボル「通潤橋」にちなんだ『通潤酒造』の創業は1770(明和7)年。以来、地元の人たちに親しまれる酒造りを続けています。山都町で栽培される酒米、緑川、五ヶ瀬川の両水系の水、熊本酵母で仕込む日本酒は、穏やかで飽きのこない味わい。食事と一緒に楽しみたい定番酒です。
通潤酒造
住所 | 上益城郡山都町浜町54 |
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TEL | 0967-72-1177 |
営業時間 | 9時~17時(寛政蔵OS16時30分) |
休業日 | 火曜、12~3月の第2・4日曜 |
駐車場 | 5台 |
花の香酒蔵
和モダンでスタイリッシュな店内 木漏れ日注ぐバーで試飲も
明治時代に建てられた母屋と酒蔵をリノベーションした『花の香酒造』の「花回廊」。大人シックな雰囲気の店内では、日本酒の直販、酒造りの様子を伝えるギャラリー、試飲ができるバーカウンターと3つの要素が融合しています。ギャラリーに展示されるのは、写真家のハービー山口氏が手掛けたモノクロ写真や和モダンなアート作品で、酒蔵の歴史や酒造りの風景を伝えるものばかり。酒蔵見学のイメージが大転換します。見学後は、バーカウンターで酒造りの話を聞きながら、自慢の銘柄の飲み比べを楽しめるのも魅力の一つ。
どんな酒蔵?
『花の香酒造』は1902(明治35)年、神社の井戸から湧き出る岩清水と、神社の田んぼで収穫された米で酒造りを始めました。以来、地元農家とともに自然農法による酒米を栽培し、昔ながらの酒造りを続けています。代表銘柄の「花の香」をはじめ、風土が育む酒を追究しています。
花の香酒造
住所 | 玉名郡和水町西吉地2226‐2 |
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TEL | 0968-34-2055 |
営業時間 | 10時~17時 |
休業日 | なし(年末年始は12/29~1/4休) |
駐車場 | 6台 |
ビギナー向け 気軽に楽しむ4つの極意
「気軽に飲みたい」「さらにおいしく飲む方法ってある?」との質問に、取材した3名の日本酒のプロが答えてくれました。
(一)ウチでも簡単に作れる 日本酒ベースのカクテル
海外でも人気の日本酒カクテル。炭酸や緑茶など、さまざまなドリンクで割る日本酒カクテルは、蔵元や酒屋さんでも提案しているおいしい飲み方。アルコール度数も下がるため、日本酒が苦手な人もおいしく味わえます。
(二)家庭料理に合わせて食中酒として楽しむ
食事と一緒に楽しむことを提案する蔵元も多く、“食中酒”と表示される日本酒も。味わいはさまざまなので、和食・洋食を問わず、家庭料理や肉料理、バーベキュー、チーズなど、いろいろな食べ物との組み合わせを楽しんで。
(三)気になる銘柄は小さなサイズで試す
開封後は味や香りが変化しやすいので、初心者には、小さめサイズがおすすめ。近頃、“家飲み”が増えているせいか、日本酒も720mLの4合ビンが充実しています。中には375mLやカップ酒など、1人で飲み切れる小容量の物も。
(四)好みの一本に出合うなら酒のプロがいる酒屋さんへ
コンビニやスーパーでも多種多様な日本酒が並んでいますが、ビギナーには地酒専門店などの酒屋さんがおすすめ。ハードルが高いイメージがありますが、酒のプロならではのアドバイスをくれ、好みに合った銘柄を提案してくれます。
パケ買いしたくなる 全国各地の地酒
若手の蔵元が醸す日本酒は、味もラベルもスタイリッシュ。ビギナーでも飲みやすいアルコール度数低めの銘柄がそろいました。
新政 コスモス 新政酒造(秋田県)/720mL アルコール度数13度/2340円
生酛造り・木おけ仕込みで、注目を集める酒蔵。秋田の酒米を味わうシリーズ「Colors」の一つで、「コスモス」は滑らかなおいしさ。
吉田蔵 石川門(左)・百万石乃白(右) 吉田酒造店(石川県)/720mL アルコール度数13度/1760円
昔ながらの山廃仕込みと現代の技術を融合させた“モダン山廃”のお酒。ナチュラルで優しい味わいは、和洋中と料理を選びません。
田中六五 6513 白糸酒造(福岡県)/720mL アルコール度数13度/2770円
福岡で今一番飲まれているといわれる「田中六五」の限定酒。フルーティーな香りと甘味、酸味のバランスがいい一本。
日日 山田錦 日々醸造(京都府)/720mL アルコール度数13度/2300円
今年春に京都・伏見で誕生した『日日(にちにち)酒造』。新進気鋭の酒蔵の日本酒は、京料理に寄り添えるような上品な味わいで食中酒におすすめ。
とおののどぶろく nondo(岩手県) 500mL アルコール度数14度 2530円
どぶろく特区第1号の岩手県遠野市発のどぶろく。無農薬で育てた在来米のみを使用。シャインマスカットのような芳醇(ほうじゅん)な香りが特長です。
七本鎗 awaibuki 冨田酒造(滋賀県)/350mL アルコール度数7度 1320円
酒蔵がある賤ヶ岳(しずがたけ)にちなみ名付けられた「七本槍」。低アルコールのスパークリング酒は、喉越しが良く、洋食にも好相性。
教えてくれたのは
日本酒や焼酎をはじめとした“和酒”の専門店。熊本をはじめ全国の地酒がそろい、店主の猪本さんやスタッフが取り扱う酒の蔵元全てに足を運んでいるそう。酒造りの現場を見て仕入れているため、お酒の味、蔵元の思いをしっかり伝えてくれます。
いのもと酒店
住所 | 熊本市東区帯山4‐56‐15 |
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TEL | 096-382-8088 |
営業時間 | 10時~20時、日曜・祝日は~18時 |
休業日 | 水曜(12月は無休、1/1~3休) |
駐車場 | 10台 |