一枚の処方箋から【医療従事者によるリレーエッセー】

暮らしに役立つ熊本の医療情報をお届けします。
監修/公益財団法人肥後医育振興会
目次
慈愛の心 医心伝心 vol.143
「自分は確かにステージ4だけど、笑って生きようと思えるようになりました。がん相談支援センターを紹介してくれてありがとう。そして、これからもよろしく!」
こう言われた患者さんとの出会いは、便秘薬が書かれた一枚の処方箋でした。
私は保険薬局の薬剤師です。調剤前の聞き取りで、その患者さんは抗がん剤治療が始まったことを話されるや、せきを切ったように、がんに対する不安、恐怖、絶望…の言葉があふれ出てきました。その様子に「薬局窓口だけでの対応は困難。専門的な傾聴が必要」と判断し、普段から連携している「がん相談支援センター」に面談を依頼しました。
数日後、薬局に再来された際に発せられたのが冒頭の言葉でした。
2人に1人ががんになる時代。がん拠点病院が整備され、がん相談支援センターでは患者さんやご家族に細やかな支援が行われています。しかし、そこにたどり着かない方が多いのも事実です。「がん医療ネットワークナビゲーター(がんナビ)」には、必要な支援ができる場所へおつなぎする役目があります。
地域の保険薬局の薬剤師は、普段から接している患者さんのお話や処方箋、お薬手帳から、ちょっとした変化に気付きます。そこで一言声をかけることが、問題解決の糸口になることを数多く経験してきました。
私は、乳がんの経験者でもあります。医療者であり、がんの当事者であるという特性を生かし、がん患者さんやご家族に寄り添っていきたいと思っています。


出水南がんサロン世話人
認定がん医療ネットワーク シニアナビゲーター
松田 陽子さん





















