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子育てで知る感染症の現実【医療従事者によるリレーエッセー】

子育てで知る感染症の現実

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慈愛の心 医心伝心 vol.126

2010年から9年間、保健所で感染症対策の仕事をしていました。学校や、保育所などの社会福祉施設で感染症の集団発生があれば、対策について指導・助言を行い、出前講座や市民相談では「ネット情報をうのみにしないで」「まずは正しい知識、そして行動することが何より大切」と、何度も話してきました。

その後、現在の部署に移ってから2児を授かり、目下子育て奮闘中です。

上の子は3歳、下の子は1歳。ウワサには聞いていたけれど、「感染症のデパート」とはこのことか。インフルエンザに感染性胃腸炎、ヘルパンギーナに手足口病、名もなき風邪から繰り返す中耳炎。病院通いもまた繰り返しています。

そして、感染症対策の現実を突きつけられます。子どもの隔離? 消毒? え、布団の上で吐いた! …全部理屈は分かっている。やるしかない。だけど、ワンオペで疲労困憊(こんぱい)。幼児2人を抱えてどうやろうかと気が遠くなる。さらに家族が全滅したときの無力感たるや…。

しかも子どもの体調が悪化するのは、たいてい夜中。苦しそうな子どもを目の前に、ネット検索魔と化します。さすがにうのみにはしないものの、ネット情報なくしては冷静でいられません。私に相談にみえた人たちの気持ちが身に染みて分かりました。

子育ての不安に、医療従事者の皆さんにはいつも寄り添った言葉をかけてもらっています。私も、今ならもっとリアルで寄り添った話ができるのではないかと、子どもの寝顔を見ながら思う日々です。

熊本市動物愛護センター 技術主幹兼主査(獣医師) 泉 真理子さん
熊本市動物愛護センター 技術主幹兼主査(獣医師) 泉 真理子さん

記事内の情報は掲載当時のものです。記事の公開後に予告なく変更されることがあります。

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