【520号】カルチャールーム – 円盤で時間旅行 嶋田宣明
大衆からマニアまで魅了 千変万化の歌詞の世界
昔のシングル盤には、穴のあいた直径約17cmのレコードと、タイトルや歌手の顔がデザインされたジャケットが入っていて、その裏には歌詞や歌手のプロフィールとともに、作詞家と作曲家の名前がクレジットされていました。
いろんなところでレコードを掘っていて、見知らぬレコードと遭遇した時、レコードの良しあしを判断するのに大切なのが、作詞家・作曲家の情報。もちろんジャケ買いという、ジャケットのデザインや雰囲気だけで判断する買い方もあるのですが、これは当たり外れの差が大きく、結構リスキーな買い方なのです。
そんなレコードの選び方をしている中で私が大好きになったのが、なかにし礼という作詞家。彼が書いた詞は数百曲に及び、代表的な曲は北島三郎の「まつり」やザ・ドリフターズの「ドリフのズンドコ節」、島倉千代子の「愛のさざなみ」など。ただこれだけでも、そのスタイルが多岐に渡っていることがわかります。今回ご紹介するレコードは、女性の恋愛について書いた曲なのですが、最初にその歌を聞いた時、そこに表現されている女性の生きざまに、とにかくあぜんとし思わず笑ってしまうほどでした。
オリジナルはギルバート・オサリバンの「アローン・アゲイン」という曲で、それを九重佑三子が「また一人」というタイトルでカバーしているのですが、予想のつかない歌詞の展開に、私はすっかり、なかにし礼の歌詞の世界の虜(とりこ)になってしまったのです。
※今回紹介した曲は4月21日(火)放送のFM791「昭和名曲堂コモエスタ辛島町」(16時~18時55分)で放送する予定です。
しまだ・のぶあき/1951年生まれ、熊本市出身。東京のデザイン会社でコピーライターとして社会人デビュー。帰熊後、広告代理店でコピーライター&プランナーとして活躍。現在はFM791「昭和名曲堂コモエスタ辛島町」(火曜・16時~18時55分)、RKKラジオ「昭和歌謡大作戦」(日曜・20時~20時55分)の選曲家、パーソナリティーを務め、幅広い年齢層に昭和の曲を届けている。