「普通」の関係にはなじまない人々【つんどく よんどく】

百瀬文著
1650円 四六判 講談社
目次
なめらかな人
このエッセー集の著者はアーティストで、女性で、そして男性のパートナー二人と暮らしている。そう、パートナーが二人いる。えっ?と思われるだろう。私もだ。でもこんな抵抗を覚えてしまうのは、なぜなのか?
本書を読めば分かるが、当人たちだって確信を持ってない。迷っている。ただ、いわゆる「普通」の関係性には決してなじまない、大切な人と向き合うために、考え続けている。答えは出ないし、簡単に出すべきものでもない。他人がとやかく言う資格はない。
〈たとえこの地球に散り散りに住むことになったとしても家族でいられるように、わたしたちは将来の約束をしないのだと思う。〉
こんな言葉があった。あえて約束をしない誠実さが、ここにはある。
これ以外にも、無数の問いを誘発する文章があふれる、むちゃくちゃ興味深い一冊。不安と夢中が混ざる新鮮な読書だった。
今回の担当は
おいしいどら焼きを探しています。

