【609号】すぱいすフォーカス – 熊本市 街なか 中心市街地 こんなところに お地蔵さま
熊本市の街なかを歩いていると、意外な所でお地蔵さまと出会いました。手を合わせると清らかな気持ちに。「もしかしたら、他にもお地蔵さまがいらっしゃるかも」。都会の中にたたずむお地蔵さまを探しに歩いてみました。(直)
そもそも”お地蔵さま”とは
広い慈悲で人々を救う菩薩(ぼさつ)とされます。仏教では、釈迦(しゃか)が入滅してから弥勒(みろく)菩薩が現れるまでの無仏時代を救うのが地蔵菩薩と考えられ、平安時代以降、信仰が庶民にも広まりました。幅広く救済してくださると解釈されたため、六地蔵や子安地蔵、いぼ地蔵などいろいろなお地蔵さまが生まれたようです。
民話に登場したり、願いをかなえてくれたり…
(1)どんがん地蔵
南坪井町の延命寺地蔵院内
祭りの鐘と太鼓の音が名の由来
門を入り駐車スペースを奥へ進むと、熊本の民話にも登場するお地蔵さまが安置されています。「昔、武士が馬に乗ったまま前を通り過ぎようとして落馬したことから、向きを変えられた」とのいわれが残るお地蔵さまです。「どんがん地蔵」とも呼ばれ、地蔵尊のお祭りの際の太鼓や鐘の音が名前の由来だとか。10時〜17時の間にお参りできます。
(2)日限(ひぎり)地蔵
水道町交差点の南東側付近
受験生も訪れる 隠れた名所
路地からのぞいてみると、たくさんのお地蔵さまが目に飛び込んできます。約400年前、細川家に仕えていた現在の堂守の先祖が、肥後入国の際に携えていた1体をここに祭ったのが始まり。今では約200体のお地蔵さまも一緒に安置されています。6時30分〜19時の間にお参りを。
(3)市役所バス停そばのお地蔵さま
坪井川側の市役所前バス停付近
長塀を背にした姿にほっこり
特集のタイトルにもなっている“こんなところに”を感じたお地蔵さま。いわれや名前などをいろいろと調べたけれど分かりませんでした。熊本城の長塀と坪井川を背景にしてたたずむ風情あるお地蔵さまです。
まだまだ、こんなところでも発見!
(4)蓮政寺公園にあるお地蔵さま
鶴屋百貨店裏の蓮政寺公園の端の方で、行き交う人たちを見守ります。朱色の祠(ほこら)が目を引くお地蔵さまです
(5)川端地蔵
銀座橋のたもとにあります。川端地蔵と文献に載っていますが、いわれは分かりませんでした。夏には、町内の子どもたちによる地蔵まつりが盛んに行われていたそうです
(6)天野屋書店のお地蔵さま
並木坂の天野屋書店の店先にあります。平成2年、現在地に移転する際に、店舗の奥の庭にあったお地蔵さまを一緒に移したそうです。スマホ向け位置情報ゲームアプリ「ポケモンGO」のスポットにもなっています
(7)サクラマチ熊本駐車場近くのお地蔵さま
戦時中に家族の供養で建てられたお地蔵さま。ご家族が今も毎日お世話をされています
取材協力/熊本市歴史文書資料室
参考文献/「熊本市中央北地区文化財調査報告書」「平成肥後国誌(上巻)」など