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忘れられない思い出を胸に【医療従事者によるリレーエッセー】

今年4月から、当院の地域医療連携室・看護師長を務めています。地域医療連携室では適切な療養や生活環境を提供するため、患者さんやご家族の抱える問題と向き合いながら医療機関や施設との連携を図り、入院や転院、退院の調整などを行っています。

私は長年、患者さんの看護に携わってきました。地域医療連携室の業務ではソーシャルワーカーと一緒に考えながら、患者さんを病気だけでなく社会的背景も含め全人的に捉えることが重要だと感じています。

看護の現場ではたくさんの患者さんとの出会いと別れがあり、看護師としても人間としても育てていただきました。中でも今も忘れられない出会いがあります。

まだ若く、看護師としての経験が浅かった頃、がんの患者さんが多い病棟に配属され、精神的にも肉体的にもつらい毎日を過ごしていました。そんな中で受け持ったある患者さんご夫婦は、いろいろな経験談を話してくださいました。そして「お仕事は大変でしょうけど、頑張ってね」と、いつも笑顔で励ましてくれるのです。

本来なら私が支えなければならない立場なのに、お二人の笑顔にこちらが元気をもらっていました。それからは、どんなにつらい状況でも患者さんや周りの方たちに心を配り、笑顔で話そうと努めてきました。

これからも初心を忘れず、患者さんやご家族の立場に立って考え、寄り添える看護師でありたいと思っています。

帯山中央病院 地域医療連携室 看護師長

内村 里美さん

記事内の情報は掲載当時のものです。記事の公開後に予告なく変更されることがあります。

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