離婚時の年金分割は「合意分割」と「3号分割」の2種類 老後や家計を左右する重要な備え【知りたい!お金の話】

【今回のスタディー】離婚時の年金分割 年金事務所での手続きが必要
ライフプランや家計のご相談をお受けすると、中には離婚をお考えの方ともお会いします。離婚は人生の大きな転機。その後の生活や家計のこともよく考えておく必要がありますね。
財産分与やローンの処分、お子さんがいれば親権や養育費のことなど、決めなければならないことはいくつも…。今回はそのうちの一つ、年金分割について取り上げたいと思います。
年金分割とは、婚姻中に築いた厚生年金の一部を、離婚の際に夫婦で分け合うことができる制度です。年金分割には「合意分割」と「3号分割」の2種類あり、特に専業主婦やパートなど扶養に入っていた人は、将来の年金額への影響が大きいといえます。
まず合意分割について。文字通り、夫婦が合意の下、お互いの厚生年金記録を分け合う制度です。分割の対象となるのは「婚姻期間中の厚生年金記録」で、分割できる割合の上限は50%。当事者同士で話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の調停や審判により、割合が定められます。
一方の3号分割とは、2008年4月1日以降に第3号被保険者だった期間について、分割を受けることができる制度です。3号分割では分割する側の同意は必要なく、対象期間の厚生年金記録について半分が自動的に分割されます。
年金分割を受けた人が受給開始年齢(原則65歳)に到達すると、「自身の年金記録」と「分割を受けた年金記録」に基づいた年金額を受け取ることができます。老後の生活を左右する重要な備えですね。
年金分割は、離婚届を提出したら自動的に分割を受けられるわけではありません。所轄の年金事務所で手続きを行ってください。また、請求権は離婚から2年(手続き前に相手が亡くなった場合、死後1カ月)で消滅するため、当事者となったら速やかに手続きを進めることが大切です。
合意分割と3号分割の違い
夫婦の合意
合意分割 | 必要 ※合意がまとまらない場合は、裁判所が割合を決める |
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3号分割 | 不要 |
分割対象期間
合意分割 | 婚姻期間の全て |
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3号分割 | 2008年4月1日以降の婚姻期間で、第3号被保険者であった期間 |
分割割合
合意分割 | 上限50% |
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3号分割 | 50% |
分割方法
合意分割 | 標準報酬が多い方から少ない方へ |
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3号分割 | 第2号被保険者から 第3号被保険者へ |
分割する側の年金はどうなる?
本文では、年金分割を受ける側の視点に立って説明しました。では、年金を分割する側の人はどうなるのでしょう。言うまでもなく、年金記録を相手方に渡した分、将来、受け取れる年金額は減ることになります。
特に、配偶者を扶養に入れていた期間が長かった人ほど、より多くの年金記録を渡すことに。「稼いだのは自分」とどんなに主張しようとも、年金は「夫婦2人分」という制度だということです。
ちなみに、「3号分割」の対象期間が「2008年4月1日以降」とされているのは、制度が施行されたのがこの日だからです。それ以前にあった扶養期間は3号分割の対象外です。
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