寅年だから寅さんに学ぶ! 男のつらくない生き方

オール男性スタッフによる「男」のための不定期連載 すぱ男(だん)

第22回

今年は寅(とら)年ということで、国民的映画『男はつらいよ』シリーズの主人公・寅さんがにわかに注目を集めています。故・渥美清さんふんする車寅次郎(寅さん)は優しさと人情味にあふれ、破天荒ながら誰もを魅了します。そんな寅さんを敬愛してやまない3人に、その魅力を語ってもらい、先行き不透明な時代を生き抜くヒントを探りました。


"寅さん沼"にハマった男たちに聞く

[File 1]堀口巨介(ほりぐち きょうすけ)さん

周りを笑顔にする"存在感" 「自分が寅さんになって皆を喜ばせたい」

昔から周囲の人に、「渥美清さんに顔が似ているね」と言われていたという堀口巨介さん(75)。『男はつらいよ』を見ると、自身の性格や行動が寅さんに似ていて、「まるで自分のことが描かれているようで、だんだん好きになった」と言います。2008年、東京の柴又帝釈天で開かれた地元の盆祭り「寅さんまつり」を訪れた際、寅さんの格好をしたところ大好評。以来、「みんなが喜んでくれるのがうれしい」と、県内各地のイベントに参加しています。

敬愛する寅さんになりきって、口上を言うパフォーマンスをしたり、上天草市の魅力を伝えるマイスターガイドになり、自分で描いたイラストを使ってガイドをしたりと、人々を楽しませ、元気づける堀口さん。昨年は、豪雨災害に見舞われた人吉市を訪れ、被災した人たちにイラストや色紙を渡してエールを送りました。堀口さんは「寅さんになって人を喜ばせることが自分にできること」と話し、困っている人がいれば必ず助ける寅さんのような義侠心を持って各地に足を運んでいます。

旅先で商売や恋をしながら放浪する寅さんの生き方は、現実的ではないかもしれません。しかし最近は、人々の考え方・働き方も多様化し、「寅さんのような自由な生き方も時には参考にしてもよいのでは」と堀口さんは話します。

コロナが落ち着いたら「寅さんサミット」などにまた出かけたいという堀口さん。「集まった人と笑顔で会ってパフォーマンスをしたい。そして、来てよかったな、生きてきてよかったなと感じてもらいたい」とほほ笑みます。

Profile
上天草市姫戸町在住。ほれっぽいところや結婚していないところなど、顔以外も寅さんと似ているところが多いそう

印象に残っている言葉
第43作『寅次郎の休日』より

「困ったことがあったらな 風に向かって俺の名前を呼べ おじさん どっからでも飛んできてやるから」

一番好きな作品
第48作『寅次郎紅の花』

男はつらいよ『寅次郎紅の花』
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(C)1995 松竹株式会社


[File 2]藤田拓志(ふじた たくじ)さん

挫折をきっかけに知った魅力 「失敗するたびに救われた」

「10代の頃は寅さんの良さが分からなかった」と話す藤田拓志さん(45)は、20代前半での挫折をきっかけに、寅さんの魅力にハマりました。当時付き合っていた彼女にフラれ、仕事もクビになった時にたまたま見たのが『男はつらいよ』。失敗をしながらも明るく前を向く寅さんや、それを支える周りの人の姿に、「自分を重ねて救われた」と言います。

そこからさまざまな仕事を経験し、現在は中央区下通でバーを経営。「同じシーンでも30代は切なく、40代になると泣けてくる。受け取る側の人生で見方も変わる」と今でも何度も作品を見返すそう。「天真らんまんな寅さんの生き方は周りの人に時に迷惑を掛けますが、人は誰かに迷惑を掛けながら生きているもの」と藤田さん。寅さんを「良い影響を与えてくれた車先生」と慕い、“人生の指針”として日々を過ごしています。

印象に残っている言葉
第21作『寅次郎わが道をゆく』より

「青年…女に振られた時は じっと耐えて一言も口を利かず 黙って背中を見せて去るのが…男というものじゃないか」

Profile
中央区在住。バー「勝手にしやがれ」オーナー。いつも寅さんの格好でカウンターに立ち、寅さんのカレンダーや名言集なども店に置く寅さんマニア

一番好きな作品
第21作『寅次郎わが道をゆく』

男はつらいよ『寅次郎わが道をゆく』
DVD1800円+税 2014/07/25発売
※レンタルもあり
発売元:松竹
販売元:松竹
(C)1978 松竹株式会社


[File 2]松茂篤(まつも あつし)さん

息づく家族愛や下町人情 「人とのつながりの大切さ実感」

小学校低学年の時に見た第25作『寅次郎ハイビスカスの花』で、飛行機に乗るのを嫌がる寅さんが、通りすがりのキャビンアテンダントについて行くシーンが面白く、寅さん好きになったという松茂篤さん(43)。高校卒業後、夢だった洋服屋になるためボストンバッグ一つで上京し、「どうせなら」と就職先のことよりも柴又に住むことを優先。「柴又に住んでまず、寅さんの妹・さくらのアパートを探しました」と笑います。

松茂さんは、劇中にたびたび登場する京成金町線の柴又駅を利用して通勤。昔ながらの食堂に行ったり、江戸川の花火を見たりと、柴又の風情にどっぷり浸かって生活する中で、人情味にあふれた下町に暮らす人々の絆を感じたそうです。その経験から、「コロナ禍の今こそ、寅さんを見て、人と人とのつながりの大切さを感じてほしい」と話します。

印象に残っている言葉
第39作『寅次郎物語』より

「”ああ 生まれてきてよかったな”って思うことが 何べんかあるじゃない ねっ? そのために人間生きてんじゃないのか? そのうちお前にもそういう時が来るよ」

Profile
北区在住。劇中のおいちゃん、おばちゃんのように、「おい!寅」「寅ちゃん」と呼びたいため、わが子に「寅次郎」と名付けようとするが、周囲の猛反対に遭い断念

一番好きな作品 第39作『寅次郎物語』

男はつらいよ『寅次郎物語』
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(C)1995 松竹株式会社


結論。寅さんの誠実で温かな心が、周囲の人からの愛を引き出す