妊婦さんの助けとなる無痛分娩 適している人・適していない人【メディカル百科】
産婦人科編
陣痛や出産の痛みを和らげる「無痛分娩」。近年、認知度や関心が高まり、希望する妊婦さんが増えているよう。しかし、全ての人が適しているとは限らず、不向きな場合もあるようです。専門医に詳しく聞きました。
─無痛分娩とは。
無痛分娩のほとんどは硬膜外無痛分娩と呼ばれる方法です。まず、腰に細い麻酔チューブを挿入し、そこから麻酔薬を注入します。注入後10〜15分で麻酔が効いてくると、陣痛の痛みが軽くなったり、なくなったりします。下半身の感覚が鈍くなり、足を動かしにくくなったりもしますが、上半身は麻酔の影響はなく、手の動きは普通で意識もはっきりしています。麻酔薬は30分から1時間くらいで効果が薄れるため、痛みの感覚が戻り、つらくなってきたら麻酔薬を追加します。
─無痛分娩に向いている人とは。
陣痛の感じ方には個人差があり、「我慢できる範囲だった」という妊婦さんもいれば、陣痛の痛みがトラウマになって次の妊娠を思いとどまる方もいます。そのため、無痛分娩は陣痛に対して強い恐怖感やストレスを感じている妊婦さんや、パニック障害などの心の病気で陣痛に対する不安が強い方には適した分娩法といえます。また、血圧が高い妊婦さんにも良い方法です。陣痛の痛みがあると、血圧は上がります。元々血圧の高い妊婦さんなら、痛みでさらに血圧が上昇し、あまりに血圧が高いと、けいれんや頭蓋内に出血が起きたりするからです。
─他にもありますか。
他にも、逆子や双子など緊急帝王切開術になる可能性のある場合には、無痛分娩が安心です。無痛分娩に用いる麻酔法は帝王切開にも利用でき、麻酔チューブに多めの麻酔薬を入れれば、10分くらいで手術を開始することができます。赤ちゃんの状態が悪化したときには一刻を争うため、より早く帝王切開に取りかかることができる無痛分娩は有利です。「無痛分娩は恐い」と思う方も少なくないと考えられますが、産婦人科医の立場からすれば、むしろ速やかに帝王切開に切り替えられる無痛分娩の方が安心ともいえます。
─無痛分娩が適さないケースは。
無痛分娩をおすすめできない妊婦さんは、ほとんどいません。ただ、体重が80〜90㎏台の妊婦さんには麻酔チューブを入れるのが難しくなります。その意味では、妊娠中の体重管理には気を付ける必要があります。その他にも、一部の心臓病や出血が止まりにくい血液の病気では麻酔をできないことがありますが、これは、まれなケースです。いずれにしても、主治医によくご相談の上、選択していただきたいと思います。
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