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本を買うだけの快感!? 「積ん読」が止まらない‼【熊大生のイマドキヒマドキVol.70】

熊本の旬な情報を発信しているKumarismのメンバーが、大学生ならではの偏った目線でモノコトを熱く語ります!

Taishi

来年度から卒業研究が始まる理系大学生。春休みは家に引きこもって、「詩人か、高等遊民か、でなければ何にもなりたくない」という、森見登美彦作品の登場人物の言葉に深く共感する退廃的な日々を満喫中。

目次

図書館の本ではいけないのか?

「本屋で買わずに大学の図書館で借りれば良くない?」

“ある友人”は僕にそう言った。

そっちの方が経済的だろ? バイトしてないなら尚更

Taishi

分かってないな……

僕は右手を左右に小さく振り、その提案を否定した。
そして、口角を僅かに上げ、瞳孔が少し開いた状態で話し始めた。

まずい……長くなるぞ

僕が本の話を始めると止まらなくなってしまうことを彼は知っている。
赤い布目掛けて猛進する闘牛のように、つい熱が入る。

Taishi

図書館って、返却期限があるだろ? あれがあるせいで、「〇月〇日までに読み終わらないと!」と焦って読書に集中できないし、読書に対して義務感が芽生えて純粋に楽しめないんだよ

Taishi

それに僕は外出中、常に本を持ち歩いていたいし、寝る時はベッドの横に本を置くようにしてるんだ。だから、図書館の誰が触ったかも分からない本を借りるのは抵抗がある。しかも、僕はよく再読するし、作中出てきた好きな言葉は、いつでも見返せるようにしたい

…………

Taishi

ネットで検索すればその言葉は出てくるかもしれないけど、本の頁を捲って言葉を探し、その言葉の周辺の文章を読み返すのが好きなんだ。それに何より、自宅の本棚に自分が読んだ本があるってのは凄く落ち着くんだ。自分の思い出の写真を部屋に飾って、その写真を眺め、当時の記憶を思い出してノスタルジーに耽るように、僕は過去に読んだ本の背表紙を眺めると、その本を読んでいた当時の記憶を思い出して、懐かしさを感じられる。「あぁ、僕の人生は確かに断絶無しに連続的なんだ」ってね。登山者が後ろを振り返り、ここまで登った道のりを見て、「あと少し頑張ろう。ここまで登ってきたんだ」と思うように

………………………………

Taishi

あぁ、ごめん。つい夢中になっちゃって……

…………………………あぁ、別に、いいよ

友人は苦笑いをし、目線を少し下に逸らした。
僕もつられて苦笑いをし、空を見上げた。

大学の北キャンパスに生え揃った緑生い茂る木々は、春の訪れを知らせる暖かい陽光に照らされ、優しく揺れている。
今読んでいる『素粒子』(ミシェル・ウエルベック著)も、読了後には自宅の本棚に並ぶことになるのだろう。
そして、いつの日か、その背表紙を眺めながら、今日のこんな、なんてことない友人との会話を思い出して、懐かしい気持ちに浸るのかもしれない─ ふと僕はそう思った。

積ん読がやめられねぇ

残念ながら、私はこの記事で一貫して、自分が積ん読するほどに、本が好きであることを伝えただけになってしまいました。

本来は、この記事の執筆を通して、積ん読してしまう原因を解明することが目的でした。
ひいては、積ん読を止め、読みたい本はできるだけ図書館で借り、書店で本を買う頻度を控えるよう、ケジメを付けようと思っていたのです。

しかし、それどころか、私は本が、書店が好きであることを、この文字の羅列を通して再認識させられ、より一層好きになってしまいました。
こんな時、村上春樹の小説の登場人物なら、レコードのかかった自宅の一室で「やれやれ」とでも言うのでしょうか。

本を読むことによって、人は古今東西、あらゆる人物を体験できます。
それは文章を通した形而上的なものですが、作家の力量次第で、その世界は彩を増し、時に現実より現実的なものとなります。
結局のところ、私が読書を止められないのは、そのせいなのでしょう。
そして、その世界を渇望する結果、積ん読状態に陥ってしまったのではないかと思います。


もしかすると、原稿締め切り日の23時に、自宅の机に向かって、BluetoothのイヤホンでJVKEの『her』を聴きながら、Wordで原稿を執筆しているこの私も、

このコラムを入力しているパソコンの画面


どこかの作家の“ある小説”の登場人物なのかもしれませんね。そして、この記事を最後まで読んでくださった読者のあなたも、ひょっとすると、だれかの小説の登場人物なのかも──

記事内の情報は掲載当時のものです。記事の公開後に予告なく変更されることがあります。

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この記事を書いた人

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