昔いたお花畑に もう幸せは咲いていない【荒木直美の婚喝百景】
第40景
新型コロナウイルスの影響で、対面式の婚活パーティーが開催できない今、オンラインで恋愛や婚活のお悩み相談を受ける機会があります。結婚願望のある独身者たちは家と会社の往復をするだけで出会いがないと嘆きます。スマホやパソコンから参加できるオンライン婚活相談会では全国各地から独身男女が集まり、中には東南アジアに留学中の女性も「日本に戻った時のために今の日本の状況を知りたい…」と参加してくれました。
それぞれの悩みを個別(オンライン上に作る個室に案内)に聞き、私なりのアドバイスをするのですが、女性からよく出る相談が「いい人がいない」という抽象的な悩み。「いい人」って人それぞれだしそういう理想を掲げる人ほど現実が見えていなくて迷走します。また、「普通の人でいいんです!」というケース。これも厄介。何が普通?平均狙いで理想を下げているように見えますが、理想はブーメラン、自分に戻ってきます。相手に求める“普通”を自分もクリアしているのか、そのあたりの確認が必要です。
元彼とついつい比べてしまって…
そして本題はここから。よくあるのが、「いい出会いがあっても元カレとついつい比べてしまって、うまくいかないんです」という悩み。「元カレはもっと優しくて気が効いていて、私の性格を理解してくれた」と過去の幸せだった頃の話になります。もちろん、女性の言い分はしっかり聞きます。それから「で、元カレの元には戻れるの?」と聞くと「無理です」という返事。私からのアドバイスは、「あのね、元カレは昔、手元に咲いていた花、これから出会う相手は種なの」。誰だって嫌なことより幸せだった頃のことを覚えているもの。時間がたって忘れているかもしれないけれど、元カレと別れた決定的な理由が存在するはず。過去の思い出は幻のお花畑。自分勝手に描いた都合のいい場所。でも、よくよくその場所を見てみると花なんか咲いていなくて、枯草ぼうぼうで、そこに明るい未来はないのです。その代わり、これから出会う相手は種。まだまだ未熟かもしれないけれど、どんな風に芽を出して成長していくか分からない。お互いの努力によって大きな花が咲くかもしれない。煩わしく感じるけんかだって、2人の成長に欠かせない「水と日光」です。
過去にとらわれすぎるとよくない婚活になるので気を付けてね。過去を美化して、目の前に転がっている将来有望な種を見逃さないように。さあ、過去のお花畑から戻って、本当の幸せを見つける旅に出かけてください。
元カレとの過去は生ごみ。 燃えるごみの日に出すべし。
PROFILE
荒木直美
あらき・なおみ 婚活コーディネーターとして、約2000組のカップルを誕生させた実績を持つ。婚活の心構えやカップルになるための必勝法をレクチャーする、オリジナルの婚「喝」語録が話題に。テレビやラジオでも活躍する主婦タレント。