けったいな恋愛 無性に切なく【つんどく よんどく】
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おめでとう
浜田真理子という歌手が好きだ。
先日その歌を聴いたら、ふと川上弘美を思い出し、この本を再読した。だいぶ前、同じような時期にファンになったのだが、二人の作品に感じる、さびしさの感覚が似ている気がするのだ。
本書は短編集だ。恋愛が中心にあるが、いわゆる「よくある」感じは無い。どれも不思議な感触で、中には「けったいな」と言いたくなるようなものもある。
例えば、運命の恋人が桜の木のうろに住みついてしまう変な話がある。なんかよく分からないのだが、無性に切ないのだ。
でも恋愛自体が、そもそもそういうものだろう。よく分からない相手と、よく分からないことをし、感情がてんやわんや。考えてみれば異常だ。そんなことをずっと続けてきたのだ、人類のほとんどが。他に面白いこともあろうに、変なやつらだ。そしてこれからもどうせ同じことをするのだ。たぶん私も。
ということで、もし本書を読んで川上弘美を気に入ったら、浜田真理子もぜひ聴いて!
紹介するのは
最近面白かった映画は『貴公子』です。