ペットと避難どうする?突然起こる災害に対応できるように
9月は防災月間
大切な家族の一員であるペット。地震や豪雨などの自然災害が起きた際、ペットが飼い主と一緒に安全に避難するために普段からどのような備えをしておけばいいのでしょうか。備蓄品の準備から避難所での過ごし方まで、飼い主が知っておきたいことをまとめました。
※この記事は2022年9月のものです
ペットとの避難 事前準備が大切!
大切なペットと一緒に避難するために、日頃から備えておくことと避難時の注意点を紹介します。
(取材協力/熊本市・竜之介動物病院)
「同伴避難」必要なものは飼い主が準備
ペットと一緒に避難した上で、飼い主が同じ避難所でペットを飼養管理し過ごすことを「同伴避難」と言います。熊本市危機管理防災総室によると「ペットと一緒に避難したい」という市民の要望が多く、同総室では以前からペットを同伴できる避難所の設置を検討していました。2020年9月、台風10号の接近に伴い、ペット同伴避難所を初めて開設。約370人の飼い主と犬や猫、鳥など約160匹の避難を受け入れました。
ただ、一般の避難者もいたことから、ペットの臭いや鳴き声などへの対応、ケージや餌、トイレ用品の不足など、さまざまな課題に直面したそうです。同総室は「同伴避難時には必要なケージや備品を自宅から持参してください」と話しています。
熊本市は、21年に災害時のペット同伴避難所として民間施設と初の協定を「九州動物学院」(中央区本荘)と締結。今後もペットと安全に避難できる場所の確保に取り組んでいます。
避難所は、動物が好きな人も苦手な人も利用する場所。周囲への配慮を忘れないようにしましょう。
「安心して過ごせた」ペット同伴避難の利用者
ペットと一緒に避難できた飼い主からは、「安心して過ごせた」「もっと避難所の数を増やしてほしい」などの声が寄せられたそう。ケージで過ごすペットがいた一方、リードをつないでいないケースもあったとか。避難所によってはケージに入れることが条件の場合もあるので注意が必要です。
日頃の備え できること
ペットとはぐれたときの対策
災害時、大きな音や揺れに驚いたペットが自宅や避難先から逃げ出し、飼い主とはぐれてしまうケースが多く見られます。飼い主の元に戻れるよう、首輪や迷子札は必ず付けておきましょう。マイクロチップを装着するなど、万一に備えて二重、三重の対策をしておきましょう。
健康管理としつけ
ワクチン接種やノミ・ダニ予防など、普段からペットの健康管理を心掛けておきましょう。また、家族以外の人や他の動物、さまざまな音に慣らしておくと、ペットが避難所生活を送る時のストレスを軽減できます。
避難所の確認
お住まいの市町村に、ペット同伴可能な避難所があるかどうか事前に確認しておきましょう。また、避難所だけでなく、親戚や知人宅、ペットホテルなどに預けることも選択肢の一つ。災害が起こった際にどのように対応するか、事前に家族と相談しておくことが大切です。
ペット用品の備蓄
避難所にはペットの食事や備品はありません。食事はもちろん、飲み水、トイレ用品、薬などを準備しておきましょう。
・キャリーバッグやケージ
・フード、水(1週間分あると安心)
・おやつ
・食器(食事用と水用)
・薬、療養食
・トイレ用品
・バスタオルや毛布 など
避難するときの注意点
実際に避難するときに注意しておきたいポイントを紹介します。
ペットも一緒に避難が原則
飼い主が避難するときはペットも一緒に避難することが原則。ペットをケージに入れるか、リードを付けて移動します。首輪が緩んでいないかしっかり確認しましょう。
避難所でもケージに入れるか常にリードを付けておく
避難所生活では、放し飼いは禁物。ペットはケージやキャリーバッグに入れておくか、リードを付けておきましょう。周囲を不安にさせないよう配慮を。
ペットを安心させるために優しく声掛けを
大きな音や揺れでペットがパニックになってしまうことも。まずは飼い主が落ち着いて、ペットに優しく声を掛けてあげましょう。
避難所のルールに従う
多くの人が過ごす避難所では、飼い主もペットも不安を抱えています。ペットの飼育管理は、責任をもって行いましょう。飼い主同士で協力し合うことも大切です。
表紙の疑問 Q&A
Q 親戚や知人、ペットホテルに預けるときに気を付けておきたいことは?
A
避難所によってはペットと同伴できない場合もあります。親戚や友人宅に預けるときは、餌やトイレ用品などを持参しましょう。ペットホテルに預けるときは、ワクチンなど予防接種の証明書の提示が求められます。預ける際は、病気の有無やかかりつけの動物病院などをまとめた手帳やメモを渡すとより安心です。
Q 避難所には何を持参すればいいの?
A
ペット用品は全て飼い主自身で準備しておく必要があります。犬や猫、ウサギ、ハムスター、鳥など、それぞれの動物に合わせた餌や水、餌を入れるための容器、トイレ用品を持参します。緊急時にすぐ持ち出せるよう、事前にまとめておくことも大切です。
Q ペットが驚いて逃げ出した場合は?
A
まずは飼い主の安全を確保。落ち着いて自宅周辺から少しずつ、範囲を広げて探しましょう。「そのうち帰ってくる」と待つのはNG。動物愛護センターや保健所に保護されている可能性もあるので問い合わせを。ペットの毛色や年齢、特徴などを伝えましょう。
[2022年6月から義務化!]マイクロチップの装着制度
2022年6月に改正動物愛護法が施行され、犬と猫にはマイクロチップを装着することが義務付けられました。
災害時に多くのペットが迷子になり飼い主の特定が難しかったことも導入の理由です。
竜之介動物病院(中央区本荘)の德田竜之介院長に、マイクロチップの装着について教えてもらいました。
“ペットの住民票” 的役割 迷子防ぐためにも装着を
犬・猫用のマイクロチップは長さ約1cm、直径約1mmの標識用器具。獣医師が首周辺の皮下に埋め込みます。専用機器で読み込むと15桁の識別番号が表示され、登録情報から飼い主を特定可能。ペットの住民票みたいな感じですね。チップ装着は海外では今や当たり前になっています。GPS(全地球無線測位システム)のように、ペットの位置情報を特定できると誤解されがちですが、それはできません。
マイクロチップ装着によるペットの健康被害は今のところありませんが、心配な方は獣医師に相談してください。熊本地震では、多くのペットが飼い主不明になりました。迷子になる犬や猫が一匹でも減るように、熊本の皆さんには熊本地震を教訓にマイクロチップ装着を進めていただきたいです。
マイクロチップの装着と情報登録の流れ
販売される犬や猫については、マイクロチップの装着が義務化されています。すでに飼っている犬や猫への装着は努力義務です。飼い主の住所や名前、電話番号などを指定登録機関に登録し、情報が更新されるたびに変更を行う必要があります。登録費用はオンライン申請の場合300円、紙申請だと1000円です。